★理系本の書評

2019年01月30日

はじめての解析学

本日は原岡 喜重 氏の
はじめての解析学
です。


本書は数学の「解析学」という分野について
書かれた一冊です。

「解析学」とは微積分学にはじまり、
微分方程式や複素関数論などを包含した学問で、
一言でいうと「変化」を解析する学問です。

物理など、広く応用されている分野になります。


本書は数学の中で、微分方程式の代数的側面を
専門とする著者による一冊です。

解析学の多くの分野は専門外という著者ですが、
そのおかげで私のような素人にも
なんとか読める一冊に仕上がっています。

普通、数学は「定理→証明」の繰り返し、
という学問なのですが、本書ではその背景や
意味も触れてくれているので、
全体の見通しを立てやすい一冊でした。

私は普段数学に触れることは多いのですが、
数学の知識は大学教養課程程度でとまっています。

そんな私でも、本当に数学を専門とする方々が
世界をどのように見ているのか?
その一端を知ることができました。


個人的には、本書の前書きが印象的でした。
「自然の本質は変化です」にはじまり、
必要十分な言葉で解析学の本質が語られており、
数学という学問を研究する人らしい
美しい文章だな、と感じました。

私もこんな文章がかけるようになりたいと思いました。


数学を専門としない、理工系の大学(院)生、
研究者、エンジニアなどにお勧めの一冊です。
解析学を通じて、数学的なものの見方を
比較的らくに身につけることができるでしょう。

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engineer_takafumi at 22:46|PermalinkComments(0)

2019年01月20日

数学デッサン教室

本日は瑞慶山 香佳 氏の
数学デッサン教室
です。


本書は数式で作ることができる形を、
3Dグラフアプリで再現して鉛筆で描くという、
「数学デッサン」を専門とする著者の一冊です。

回転面やトポロジー、多面体など、
数学的な図形のデッサンがたくさん並びます。

画集のように見てもいいでしょうし、
数学的な背景を探ってみるのも良いでしょう。

デッサンはもちろん美しいのですが、
それに添えられている数式自体が
美しく感じられました。

数学と美術の関係は案外深いのだなと感じました。
実際、数学者は「美しい」という価値基準で
行動することが多いと言われていますからね。


個人的には3Dグラフのソフトウェアを
どのように使っているかが知りたかったです。

著者の今後の活動に期待、です。


数学を美しいと感じたことのある人には
お勧めの一冊です。
数学に潜む美しさを再確認することができるでしょう。

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engineer_takafumi at 11:27|PermalinkComments(0)

2019年01月18日

身近なアレを数学で説明してみる

本日は佐々木淳 氏の
身近なアレを数学で説明してみる
です。


本書は代々木ゼミナールなどで数学講師の実績を積み、
現在は海上自衛隊でパイロット候補生に
数学を教える仕事をしてる著者による一冊です。


例えばコピー機、家電量販店での買い物、パラボラアンテナ、
バーコード、宝くじなど身近なものを使って、
数学の本質を教えてくれます。

しかも、単なる雑学本になっているわけでなく、
微積分や対数、二進数、標準偏差など、
数学の概念を根っこから理解できるように
配慮されています。

数学の本といいながら、写真やイラストも多く
すらすら読めるところも気に入りました。

個人的には、分母の有理化の部分が印象に残りました。
ただの数学的手続きで意味はないとおもっていたのですが、
それなりの背景はあるのですね。


数学の教師や講師をされている方にお勧めの一冊です。
本書のトピックを使って、生徒の興味を引いて
よりわかりやすい授業をすることができるでしょう。



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engineer_takafumi at 22:10|PermalinkComments(0)

2019年01月13日

ホーキング 未来を拓く101の言葉

本日は桝本 誠二 氏の
ホーキング 未来を拓く101の言葉
です。


「車いすの物理学者」として有名なホーキング博士は
2018年に76歳で亡くなりました。

博士は21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、
余命数年と宣告を受けました。
しかし、その後50年以上の生涯を生き、
多数の研究成果や著作を残された博士の人生に
希望を感じる人は多いのでないでしょうか。

本書は、これまで公言したホーキング博士の言葉から
101個をセレクトし、解説をつけてまとめたものです。

人生や希望や逆境など、人生における名言。
数々のアイデアを生んだ、博士の発想。
努力と自認、そして未来をどのように感じていたのか、
名言を通じて、博士の哲学を知ります。


個人的には、ホーキング博士の
死生観や宗教観が特に印象的でした。

「人が宗教に固執し、科学を受け入れない」
というのは、博士の言葉には、
進みすぎた人間の苦悩がうかがえました。


特に、研究者にお勧めの一冊です。
天才研究者の考え方に触れることで、
人生の指針とできるかもしれません。



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engineer_takafumi at 01:33|PermalinkComments(0)

2018年12月21日

両辺に∫(インテグラル)つけちゃっていいの?

本日は中井 晶也 氏の
両辺に∫(インテグラル)つけちゃっていいの?
です。


本書は少しマニアックですが、
微分方程式を解くときに
f(x)dx=g(y)dy を  ∫f(x)dx=∫g(y)dy にしても良いのか?
という疑問に答えた本です。


私は正直この疑問を感じたことはありませんでしたが、
本書を読むと、自分の考えの浅はかさを感じました。

あたり前のように感じていたことが、
実は色々な矛盾を含んでいたのですね。

数学に厳密な人は気づくのでしょうが、
鈍感な私は気づきませんでした。
例えば、下のような問題です。
∫f(x)dx=∫g(y)dy は左辺はxの関数、右辺はyの関数で、
この等式は一体何が等しいと主張しているのでしょうか?


また、本1冊かけて議論しておきながら、
最後は「感覚で理解できたらγもΦも忘れてしまえ」
という潔さが気持ちよかったです。


個人的には、
定積分と不定積分は全く違うものとして考える
というところが印象的でした。

同じような表記なので、同一に考えてしまいますが、
内包する意味は異なるのです。


微積分を理解した大学生にお勧めの一冊です。
本書の議論により、読み物的に楽しみながら、
理解を一層深められるでしょう。

逆に、数学があまり得意でない高校生が
微積分を理解するために本書を読むのは間違いです。
余計混乱することでしょう。
まず、教科書をしっかり学んでからにして下さい。


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engineer_takafumi at 21:13|PermalinkComments(0)

2018年10月29日

機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで

本日は大関真之 氏の
機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで
です。


本書は機械学習をイラストと会話形式で
わかりやすく説明する、
というコンセプトの一冊です。

「機械学習って何?」というレベルから
ボルツマン機械学習とディープラーニングで
やっていることをイメージできるようになるでしょう。

機械学習は使っている数学は非常に難解です。
だから、本書のようにまずは図を通じて
イメージできることが大事だと思います。

そんなイメージを植えつけてくれる良書です。


個人的には
正則化や過学習の説明の部分が
特にわかりやすかったと思いました。

数学を複雑にすればあわせられるけれども
それでは意味がない、ということが
とても分かりやすく書かれてました。


機械学習を学ぶ人が
最初に読む一冊としてお勧めです。
まずは「機械学習とは何か?」を
つかむことができるでしょう。

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engineer_takafumi at 01:42|PermalinkComments(0)

2018年10月21日

ベイズ推定入門

本日は大関真之 氏の
ベイズ推定入門
です。


機械学習がブームの中、
ベイズ推定が注目を集めています。
本書はそのベイズ推定の入門書です。

通常入門書はベイズの定理と呼ばれる
確率の公式を中心に話が進みます。
「ベイズ推定=事前確率を利用する」という
ストーリーです。

しかし、本書はあえて「分布」の話を扱った
というところに特徴があります。

事前確率がどう変化するかだけではなく、
分布がどう変化するかという話まで
突っこんでいるところが意欲的です。

また、マンガといえど、
肝心な部分は難解な入門書が多い中、
本書は最後まで噛み砕いて説明されていました。


個人的には、
正則化、ノンパラメトリック、特異性などの
言葉の理解が深められたことが収穫でした。


数式なしの本の方が好きな人にお勧めの一冊です。
マンガの絵を含め、イメージでベイズ推定を
学ぶことができるでしょう。

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engineer_takafumi at 23:51|PermalinkComments(0)

2018年10月02日

道具としての微分方程式

本日は斎藤 恭一 氏の
道具としての微分方程式
です。


本書は微分方程式を身の回りにものを使って
わかりやすく説明するという一冊です。

例えば蚊取り線香や自動車のマフラー、
浄水器のフィルターやスイカなどにたとえて、
楽しく説明してくれます。
文章がやわらかいのもいいですね。

題材が題材なだけに、簡単といっても、
けっこう難解が部分もあったりします。

しかし、それでも詰まらずに、
読めてしまえるのがこの本の良いところだと思います。


個人的には、ラプラス変換の説明が
特にわかりやすかったと感じました。


大学で微分方程式を勉強する人に
お勧めしたい一冊です。
微分方程式の「感覚」を
身につけることができるでしょう。


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engineer_takafumi at 22:40|PermalinkComments(0)

2018年09月05日

多変量解析がわかる

本日は涌井良幸 氏、涌井貞美氏の
多変量解析がわかる
です。
多変量解析がわかる (ファーストブック)

分散、共分散、相関係数など
基本的な事項から始まり、単回帰分析、重回帰分析、
そして、主成分分析や因子分析、SEM、判別分析まで
カバーされている一冊です。

特に、主成分分析や因子分析記述が数式に頼らず、
分かりやすい例で説明されています。

統計学は変数が多く、数学的な扱いが複雑なので、
初心者向けの表面的なものか、
専門家向けの難解な数学書になりがちです。

本書はその中間にある良書だと思いました。


大学教養課程の数学程度の学力がある方で
多変量解析を学びたい人にお勧めの一冊です。
入門書より一歩進んだ多変量解析を
短期間に学ぶことができるでしょう。

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engineer_takafumi at 01:08|PermalinkComments(0)

2018年08月07日

マンガでわかる統計学

本日は高橋信 氏の
マンガでわかる統計学
です。



本書は敷居が高い統計学を
マンガでやさしく勉強しましょう
という趣旨の一冊です。

長年売れ続けているベストセラーです。


データの種類から、平均と標準偏差、
確率分布、相関係数、独立性の検定と進みます。

マンガだから読みやすいのはもちろん、
例が具体的なので、統計の難解な概念も
比較的頭に入ってきます。

ただ、網羅的に解説しているわけではないので、
しっかり統計学を勉強したければ、
この後、教科書を変えて勉強する必要があります。

それでも、その教科書を学ぶ時に、
この本で得た知識、感覚は役立つことでしょう。


統計学を始めて学ぶ学生や社会人にお勧めの一冊です。
統計学の最初のとっかかりができることでしょう。


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engineer_takafumi at 21:56|PermalinkComments(0)

2018年08月02日

大学4年間のデータサイエンスが10時間でざっと学べる

本日は久野遼平 氏、木脇太一 氏の
大学4年間のデータサイエンスが10時間でざっと学べる
です。
大学4年間のデータサイエンスが10時間でざっと学べる

本書は東大でデータサイエンスに携わる研究者が
一般向けにコンパクトにデータサイエンスを説いたものです。

10時間で学ぶというコンセプトなので、
当然、あまり深く理解することはできませんが、
基礎的な用語を覚えることができます。

実際のところ、本書程度の知識さえあれば、
一般向けの記事を読むには不自由しないでしょう。


コンピュータの仕組みやプログラミングの基礎から
機械学習に関する統計学までカバーされています。

数学的に難しい部分は苦しいものの、
少なくとも学習の取っ掛かりは得られます。

熟読しようとは考えずに、
入門書の一冊として、読み流すといった
活用方法がお勧めです。


話題のデータサイエンスの最低限の知識を素早く学びたい、
という人にお勧めの一冊です。
少し専門的な文章も理解できるようになることでしょう。

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engineer_takafumi at 00:15|PermalinkComments(0)

2018年06月15日

大学4年間の統計学が10時間でざっと学べる

本日は倉田 博史 氏の
大学4年間の統計学が10時間でざっと学べる
です。
大学4年間の統計学が10時間でざっと学べる


本書は「統計学とは何か?」から、
ヒストグラム、平均や分散などデータの整理方法、
確率分布、統計的な推定、回帰分析と
一通りの知識をつけてくれます。


1項目が見開き1ページで文章と図に分かれており、
読みやすい構成になっています。
また、四六判でコンパクトにまとめられていて、
専門書のようなとっつきくさがありません。
数式もなるべく使わないように配慮されています。
少なくとも、文字だけで理解することができます。


文字数に制限があるためか、
本質がまっすぐ書かれていて、
専門書にありがちな、わき道に入りすぎて、
本来の目的を見失う、ということがありません。

本気で理解しようと思えば副読本が必要ですが、
さっと要点だけ見る(理解ではありません)には
最適の本でしょう。


社会人が統計学を学ぶ時に
最初の1冊として選ぶ本にお勧めです。
統計という学問の全体像をつかむことができます。


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engineer_takafumi at 18:17|PermalinkComments(0)

2018年06月03日

超ひも理論をパパに習ってみた

本日は橋本幸士 氏の
超ひも理論をパパに習ってみた
です。
超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義 (KS科学一般書)

本書は素粒子物理を専門とする著者が、
超ひも理論の入門書として、
女子高生に教えるという物語形式で
超ひも理論をありえないほど
わかりやすく語った一冊です。

そうはいっても、実際は大学理工学部の
レベルくらいないと読めないでしょう。
しかし、元々は博士課程の学生くらいでないと
入門することさえできなかった学問が、
ここまで易しく書けるのは驚きです。

逆2乗測が崩れるとはどんな意味があるのか?
「強い力」とは何なのか?
超ひも理論で仮定する多次元とはどんなものか?
素粒子の質量の有無にはどんな意味があるのか?
など、今まで全く意味が分からなかった素粒子論を
部分的にも知ることができました。


個人的には、南部陽一郎先生の
「自発的対象性の破れ」がほんの少しでも
理解できたことが収穫でした。


素粒子物理に興味があるが
何を読んでも理解できない(普通)という
理工学部の学部生にお勧めの一冊です。
0を1にすることができるでしょう。

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engineer_takafumi at 04:06|PermalinkComments(0)

2018年05月15日

「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた

本日は橋本 幸士 氏の
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
です。
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義 (KS科学一般書)

本書は理論物理学者である著者による、
学者が女子高生に素粒子論を教えるという設定の
読み物にした素粒子物理学入門です。


私も大学で4年物理を勉強してきましたが、
素粒子関連の物理学は結局歯さえ立たず、
挫折してしまいました。

その難しさの本質は、素粒子の物理学が、
あまりに普通の人の直感と離れていることと
それを記載する数学の難易度があまりに高いことです。

それほど難解な素粒子物理学を、
本書では数式を直接つかうことなく、
言葉で理解させてくれます。


しかし、題材が題材だけに
易しく書くといっても限度があります。

例えば、運動方程式と言われてわからない人は
残念ながら、この本の読者ではありません。

聞き手の設定は女子高生といいながら、
理系の女子高生です。
やはり最低限のハードルが上がってきます。

実際には、理工学部の学部生以上ではないと、
何かを得ることは難しい気がします。

それでも、素粒子物理専攻の大学院生以上の世界を
学部生レベルで垣間見ることができる本書は
本当に意義深い、画期的な一冊だと感じました。


いくら勉強しても素粒子物理の理解への
糸口が見えない、理学部の物理学科生にお勧めです。
0から1へと進むことができるでしょう。


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engineer_takafumi at 00:50|PermalinkComments(0)

2018年05月06日

中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる

本日は小杉 拓也 氏の
中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる
です。
中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる

本書は学習塾「志進ゼミナール」を主宰、
難関校合格の実績も多数持ち、
プロ数学講師として活躍されている著者による
中学数学のまとめ本です。

500ページほどの本に3年分の
中学数学のポイントがまとめられています。

図も豊富で式の変形も親切です。
また、著者の長年の経験から、
陥りやすそうな箇所については、
特に丁寧に解説されています。

数学の本としては、言葉の説明が
かなり多い方ではないでしょうか。
数式アレルギーの方にとっても
読みやすい本ではないかと思います。

また、ところどころに数学の歴史やウンチク話があり、
数学への興味を刺激してくれます。

中学数学についての何冊かの本を比較した中で
抜群にわかりやすく、楽しい一冊でした。


子どもが中学になって、
自分も数学を学びなおしてみたい
という親御さんにお勧めの一冊です。
タイトル通り子どもに数学を教えられるようになり
親子の会話がはずむきっかけになるでしょう。


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engineer_takafumi at 21:15|PermalinkComments(0)