2009年06月17日

脱「ひとり勝ち」文明論

本日は未来のクルマといわれる電気自動車
Eliicaを開発した清水浩氏による
「脱「ひとり勝ち」文明論」です。


この本はディスカヴァー21の社長である干場さん
のブログにて「うちで出したかった」と
絶賛されていたので、手にとってみました。


この本を一言でいうと、
科学で未来に希望を与えてくれる本です。


世界不況、地球温暖化、エネルギー問題
今は過去にも例がないような困難な時代です。

著者が高校生に
「これからの時代は良くなると思いますか?
 それともダメになると思いますか?」
と質問したところ、実に50人中48人
つまり96%がダメになると答えたとのことです。


こんな時勢に、科学技術を使って、これらの問題を
解決する方法をわかりやすく説明します。

そして、問題が解決できた後には、
地球上の先進国の少数が富を占めるのでなく、
世界中でアメリカ人と同じような裕福な暮らしを約束する
脱「ひとり勝ち」の文明社会が訪れる、と説きます。

決めセリフは、「未来はこんなに明るいのだ!」と。

日本や地球の未来が明るいとすれば、
それに対する科学技術の貢献度は
非常に大きいはずです。

テクノロジーに携わる人間として
世の中に希望を与えようとする
著者の姿勢に強く共感しました。


「世論」がイノベーションのジレンマを断ち切る

太陽電池、電気自動車と、脱「ひとり勝ち」文明を
実現するために、必要な技術は見え始めています。

ただし、世の中が一斉にそちらの方向に舵を切って
いけるわけではありません。

なぜなら、これらの技術は、既存の会社の利益を
脅かすものでもあるからです。

だから、今の会社だけに任せていては
技術を移り変わらせることはできません。

そこで必要となるのは、社会の声、
すなわち「世論」の後押しです。

この「世論」を得ることが、著者がこの本を書く
モチベーションとなったそうです。



太陽電池の効果は
「地球の地表面積の1.5パーセント」に、
太陽電池のパネルを貼れば、世界中の70億人が
「アメリカ人と同じ位の裕福なエネルギーを使えるようになる」
というものです。


世界の70億人が、平等に、
「アメリカ人と同じ位の裕福なエネルギーを使えるようになる」
という世界の実現は、
世界で最も問題になっている「貧困」が
なくなるということでもあります。







engineer_takafumi at 22:24│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ 電子・電気

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