2010年10月08日

ビジョナリーカンパニー3

本日はジェームズ・C・コリンズ氏の
ビジョナリーカンパニー3
です。


本書はビジョナリーカンパニーの最新刊が出版されたと聞いて
迷わず購入しました。


この本のテーマは「衰退」です。
今までが偉大な企業の発展について書かれていたのに対し、
少しびっくりしてしまいます。

しかし、著者としても、昔に取り上げた偉大な企業が、
以前の輝きを失うことが多い中で、
このテーマを避けることはできなかったのでしょう。


さて、この本によると、企業の衰退はこのように進みます。

第一段階 成功から生まれる放漫
第二段階 規律なき拡大路線
第三段階 リスクと問題の否認
第四段階 一発逆転の追及
第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅

この中でキーとなるのは弾四段階だと考えます。

本を読んで頂ければわかるのですが、
企業は自己満足やイノベーションの不足で衰退するのではありません。
むしろ放漫による、無謀な拡大や変革により衰退するのです。

そして、衰退からの軌道修正は、
派手な改革や買収などではなく、地道な活動から生まれるのです。


閉塞感が蔓延した日本の大企業のマネジメント層には
全員読んでもらいたいと思う一冊です。




どの組織も、いかに偉大であっても転落しうる。
どれほど優れた業績を達成していても、どれほど遠くまできたとしても、
どれほどの力を獲得していても、没落しうる。


それ以上に悪いのは、主要な弾み車は退屈だと考えて無視し、
成功はほぼ間違いないとの思い上がりから、
つぎの大事業に関心を移す放漫である。


自分の成功を割り引いて考え、幸運が尽きたときに備えて、
もっと強くなりもっと有利な立場を築くにはどうすればいいのか、
いつも心肺していたとする。
この見方が間違っていたときどういう問題があるだろうか。
問題はほとんどない。
間違っていた場合、規律ある方法をとってきたため、強くなっているだけである。


調査対象とした企業は衰退していったとき、
自己満足に陥っていたことを示す事実がほとんどないのだ。
かつて無敵だった企業がどのように自己崩壊していくのかを説明するには、
拡張しすぎの方がはるかに適切である。


偉大な企業が衰退する前にはかならずイノベーションが
減少するとの仮説が否定された


イノベーションは成長の原動力になりうるものの、
イノベーションに熱狂していると、
成長が速すぎて戦術面の卓越性を持続できなくなり、
やはり簡単に衰退の段階を急速に下ることになりかねない。


破局的な衰退は、活力があり、熱心で、必死に働き、
創造的な人間が引き起こすこともある。


放漫になると、拡大につぐ拡大を軽率に約束することになりうる。
そしてある日、期待をはるかに高めすぎていたときに失敗する。
そのときの打撃は大きい。


偉大な企業は機会が少なすぎて飢える可能性よりも、
機会が多すぎて消化不良に苦しむ可能性の方が高い


偉大な企業は成長を担う適切な人材を集められるよりも
速いペースで売上高を増やしつづけた場合、停滞に陥るだけではない。
衰退していくのである。


不適切な人材と適切な人材の違いでとくに目立つ点の一つは、
不適切な人材が自分はこれこれの「肩書き」をもっていると考えるのに対して、
適切な人材は自分はこれこれに「責任」を負っていると考えることである。


第二段階の拡張しすぎは、著名な指導者が引退した後に加速する傾向がある。


偉大な企業は確かに大きな賭を行う。
しかし、喫水線以下に大穴を開けかねない賭は避けている。


企業はいつでも組織を動かしており、組織の進化ではこれが当然である。
しかし、悪いデータや警戒信号に対応するときに
組織再編を主要な戦略として使うようになると、
否認の段階に入っている可能性がある。


第四段階がはじまるのは、後退に対応して、
組織が特効薬に頼ろうとするようになったときだ。


凡庸さを示すのは変化を望まないことではない。
一貫性のない姿勢が慢性化していることである。


「一夜にして成功を収めた」物語のほとんどは、
二十年前後の努力の結果である。


今回の調査で、衰退企業は外部から救世主を迎えて経営を託した時期に、
業績が一般に悪化していることに留意すべきだ。


「当社が消えたとき、世界は何を失い、どういう点で悪くなるのだろうか」
という問いに対して、説得力のある答えがだせないのであれば、
屈服がおそらく懸命な道であろう。


いくつかの場合には、第四段階に入っていても、
一発逆転にすがるサイクルから抜け出して一歩ずつ再建を進められる
資源が残っていれば、進路を逆転させることができる


危機など存在しないときに危機だといいたて、足元に火がついているのだから
間もなく猛火に包まれて崩壊すると叫んでいては、皮肉な見方を生むだけになる。


これが教訓だ。決して屈服してはならない。


暗闇からの脱出の道は、このように腹立たしいほど頑固な人間、
そもそも屈服することができない人物からはじまる。


失敗とは外的な状態ではなく、心の状態である。
成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。


当社の成功のうちのかなりの部分は、持ち込まれた買収案件を断ったためである


マスコミで派手に取り上げられるのを避け、
結果が出る前に大宣伝するようなことは許さなかった。
約束は控えめにし、それを超える業績を達成する規律ある方法を使った。






engineer_takafumi at 06:33│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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