2011年03月07日

直観でわかる微分積分

本日は畑村 洋太郎氏の
直観でわかる微分積分
です。


本書は前著の「直観でわかる数学」が良かったので
興味をもって購入しました。


著者の畑村さんの本によく出てくることですが、
数学がわかりづらいのは、その理論の流れが、
人間の通常の思考の流れと異なるからです。

つまり、元々昔の人が目的をもって
試行錯誤して作った理論が、
後の時代に美しさだけを求めた
理解しずらい表現に変わってしまうからなのです。

これは美を求める数学の特性上
やむおえないことではあるのですが、
たくさんの数学嫌いを世に送り出してきました。

この本では、教科書の数学からすっぽり抜け落ちている
「目的」や「意味」にとことんこだわった本です。

今まで何気なく計算していた微分・積分への理解を
本当に固めることができます。


ただし、全く微分・積分を勉強した経験のない人には
この本の意味は理解できないでしょう。

つまづいた経験がなければ、
ありがたみもわからないのです。

ですから、理系の高校3年生や大学初年度の学生に
特におすすめしたい一冊です。




原始関数F(x)を当てずっぽうで仮定し、
それを微分した結果が元々の関数f(x)と一致したときに初めて、
そのF(x)が求めたい「積分」だったのだとわかるのである。


関数は数の関係でもなければ関係する数でもなく、
ある数をもってくるとその数に作用して新しい数を作り出す
作用を表すものである。


関数でのイコール記号は、
「箱から出てきたf(x)」を「y」と定義するための記号なのである。


現実世界で起こる現象を数学で理解しようとするときには、
まるで憑き物のように2次関数が現れるのである。


図と言葉は等価だからである。
図で表された物事は、必ず言葉に置き換えることができる。
逆に、言葉で表された物事は、
必ず図に置き換えることができるのである。


微分方程式が今日の科学技術をささえている


微分方程式の考え方では、「全体は部分に宿る」と信じて、
「ある瞬間の部分的な情報」から現象の全体像を組み立ててしまうのである。







engineer_takafumi at 01:05│Comments(1) ★理系本の書評 |  ⇒ 数学

この記事へのコメント

1. Posted by 大塚貴男   2012年06月08日 18:33
ご意見に同感です。今後、この筆者のように根本からひとつひとつ丁寧に解説した本でない限り、「誰でもわかる〇〇」とか「文系でもわかる〇〇」なんていうタイトルは付けないでほしいですね。

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