2011年12月07日

幸福の商社、不幸のデパート

本日は水野俊哉氏の
幸福の商社、不幸のデパート
です。


本書は著者よりご献本いただきました。
水野俊哉様ありがとうございました。


この本は著者が3億円という多大な借金を抱える背景と
そこから立ち直った過程を描いたものです。

小説などではそれこそありがちな話なのですが、
著者の実体験であることと表現力の豊かさで
リアル感の強さがものすごいです。

カネにまみれて有頂天になると、
逆に借金に追われて明日をも知れない身になると、
人はこんな事を考え、こんな行動をとるのだと
心のそこに突き刺さってきます。


今は不景気の真っ只中ですが、
この本にはバブリーな時代の話も登場します。

今から見ると狂っているようにしか見えませんが、
人をこうさせるのがカネの魔力なのでしょう。


景気の良い時代に生まれたら、と
嘆いている人にお勧めです。

好景気も良いことばかりではない、
今自分にあるものも大切なものだ、
ということに気づかせてくれるでしょう。



誰かと比べて勝っている負けているという発想をしている限り、
いつまでも心の安らぎを感じることはできないのだ。


レコード会社や電博などの体質は意外にアナクロで、
「○○さんのお願いだから」など、人間関係で物事が動く。


負けず嫌い人間が集まっているところに女性が絡んでくるともう大変である。


借金が返せなくなると、つねに「この状況から抜け出したい」
という危険信号が感情や神経を支配してしまうため、
理性的な判断力が失われてしまうのだ。


経験から学んだことは、
お金は「足りない」より「ない」ほうがましだということだ。


もしも僕が倒れたら、銀行やスポンサーや取引先や部下や仕事の関係者や
ユーザーやその他含めて10万人、100万人に波及効果的な影響が及んだりする
重要人物のような気になっていたのだが、それはまったくもって杞憂であり、
そもそもそのような世界観というか、物事の捉え方に本質的な問題があったのだ。


実感として、借りている額が大きいほど貸し手が弱くなる傾向がある。


もしも倒産寸前の資金繰り状況になったら、
銀行などに払うまとまった金額を一度ストップしてでも、
数万の小口債権をきれいにしておいたほうがいい。


君がどんなに失敗しても、
世の中にはもっともっと最低の失敗をした人たちがいっぱいいる


支払いの順序は「人→モノ→金」が正解ということになる。


どの業界にもいえることだが、
一度トップに立った人間はそこからの降格は許されない。


経営者もある意味、最後の仕事といえるかもしれない。
どんな職業からでも経営者になることは可能だが、
一度経営者になると、他の仕事への転進は難しい。






engineer_takafumi at 00:10│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ ビジネスその他

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