2012年02月05日

アート・スピリット

本書はロバート・ヘンライの
アート・スピリット
です。
アート・スピリット

本書は、長年読み継がれている画家のための本の邦訳として
興味をもって購入しました。


僕には絵心は全くありませんが、
アーティストの精神を知りたいと思っていました。

ただし、実際に本を読んでみると、精神論だけでなく、
画法や芸術史などに関わる部分が多かったです。

少なくとも、実際に画を描いている人間でなければ
この本の多くは理解できないでしょう。

まあ、アーティストがアーティストに向けて
書いた本ですから、当たり前ではあるのですが。


それでも、私のような素人が読んでも、
こころ動かされる表現もたくさんありました。

なんといっても、詳細は理解できなくても
情熱に溢れた言葉は伝わるものです。


芸術を志す人はもちろん、
人に伝えたい何かを持っている人にとっては
参考になることが多い本でしょう。



対象への興味。その人物について、どうしても伝えたいことがあるという欲求。
それが肖像画の第一条件だ。


画家はたんに技術の面だけではなく、見るものまたは鑑賞者として、
常に成長しなければいけない。


背景の形体、色調、明暗は、その背景の前に何をおくかによって、
おのずと変化する。


人の目は関連性のないものを本能的に無視しがちである。
人間はカメラではない。人の目は見るものを選択する。


揺るがない事実といえば、芸術と科学はとても近い関係にあり、相性がよい。


工具類はとても美しい。簡素で飾り気がなく、機能一点張りだ。
そこには「アート」の意識がない。
美しくあろうという意図がなく、存在そのものが美しい。


独創性について心配することはない。
本人がいくら望んでも、独創性を振り払うことはできない。
独創性は人間につきまとい、誰かが考えるよりもずっとしつこく
その人間の本性を 良きにつけ悪しきにつけ さらけだそうとする。


むずかしいのは、表現することよりも、見ることである。
美術作品の価値はひとえに、目の前のものを見る画家の能力にかかっている。


芸術は科学や宗教や哲学と深く結びついている。
芸術家はつねに学びたがる人間でなければいけない。


古い作品は捨てずに取っておこう。それはきみが作ったものだ。
そこには研究すべき長所と短所がある。
ほかの誰かから学ぶよりも、自分自身から学べることのほうが多い。


必要は発明の母という言葉は、科学だけでなく芸術にも当てはまるものだ。


若者を判断するのは老人たちの役目でないということに、
まだ気づかないのか?
若者たちが老人たちを判断するというのが本来の姿である。


賞を与えるのは、他人の仕事のやり方を支配しようとすることである。
自分の意に添うよう、他人の行動に口出ししようとすることである。


世間はつねに、偉大なものを自分達の狭量な愛国心という型にはめようとする。
ところが、偉大な芸術家はすべて、家族や国家や民族から
自分を切り離そうとするものだ。


子供の質問に全力を尽くして答えてやることが、
何よりもよい教育である。


きみたちが記憶をもとに絵を描いたという話を聞くと、
私はとくにうれしくなる。
きみたちの最良の作品は記憶から生まれると信じている。


他人から学ぶことは多いが、自分から学ぶことのほうがずっと多い。


学生たちは授業で何年もモデルを前にして絵を描き、
人物画で賞をもらったりしながら、結局のところ、
自分はその人物について何も知らないということに気づく。


まず考えること。白い襟のついた赤いドレスで
きみは何を伝えたいのか。


「光はどこにある?」ではなく、
「この口髭を表現するには、どこに光をおくべきだろうか?」と考えること。


偉大な芸術には、時の流れの始まりもなければ終わりもない。
そこには、全ての時がある。





engineer_takafumi at 01:02│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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