2012年07月02日

赤めだか

本日は立川談春氏の
赤めだか
です。
赤めだか

本書は立川談志について語った名著と知り
興味を持って購入しました。

あの談志の弟子ですから大変というのは想像がつきます。
前座時代は本当に苦労の連続だったみたいですね。

ただ、こんな修行時代をこなすこと、
それがそのまま芸の肥やしになることは
素人でもわかります。

本を読んでみると読んでるほうは楽しいし、
読後感もよくスッキリします。


また、著者は落語家だけあって、
言葉の語呂がとても良いですね。

文章としても、とてもお手本になる一冊です。
よく話が上手になるには落語を学べといいますが、
文章も上手になるものなのかもしれません。


落語には少し興味があるけれども、
寄席は敷居が高いし…、
という僕のような人にお勧めです。

本で落語の世界の雰囲気を楽しめるでしょう。



舞台を降りる談志の背中に向かって、
今日も落語を演らねェのかというため息が必ず客席からもれた。
入場料を払って聴きに来ている観客の期待を裏切るなんて
変な人だなァと感じた。


どうやら親さえ説得できれば弟子になれそうだ。
競艇選手になるのはあんなに大変だったのに、
怖そうな談志は意外にあっさり門戸を開いてくれた。


気持ちはよくわかるけれど、
今すぐ弟子になりたいという俺の気持ちもわかるだろ。
認めてもらえるとは思っていない。申し訳ないけど学校は辞める。
話し合いの余地はないね。


立て続けにここまで云われると人間おだやかな気持ちになることを僕は知った。
なんとか覚えようとはするが無理なものは無理。


先へ、次へと何かをつかもうとする人生を歩まない奴もいる。
俺はそれを否定しない。芸人としての姿勢を考えれば正しいとは思わんがな。
つつがなく生きる、ということに一生を費やすことを
間違いだと誰が云えるんだ。


己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、
自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬というんです。


現実は正解なんだ。
時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。
現実は現実だ。


小さん師匠は目一杯食べさせる。談志は全く食べさせない。
あなたならどちらを選ぶか?
究極の選択だ。意外だが、食べさせられる方がつらい。
途中でトイレに吐きに行って、また席について食べだす方が、人間つらいんだ。


これからお前達は世の中に向かって落語を語り込んでゆくんだ。
決して落語だけを愛する観客達の趣味の対象になるんじゃねェ。


博打の才能とはいくら儲けたかではなく、
いくら買えたかだと談春は思っている。


落語はもはや伝統ではありません。個人です。
演者そのものを観にくる時代になっているのです。


落語協会員の噺家で二ッ目、真打になれなかった者は一人もいない。


立川流の特徴。それは談志が揺らぐ人だということである。







engineer_takafumi at 23:38│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ その他の本

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字