2013年05月24日

ルネッサンス

本日はカルロス・ゴーン氏の
ルネッサンス
です。
ルネッサンス ― 再生への挑戦

本書はビジネス名著100冊のエッセンスで紹介されており、
興味を持って購入しました。

外国人経営者が日本の企業を立て直した代表例、
それは日産のカルロス・ゴーンなのは疑いないでしょう。

この本にはそのカルロス・ゴーン本人により
生い立ちや考え方、どんな仕事をやってきたかが、
克明に書かれています。

特に日産の立て直しは興味深く、日産の陥った苦境は、
日本の製造業全体に今も残る問題だと
痛感させられました。


なお、カルロス・ゴーンという人は入社2年から
工場長という仕事についています。
つまり、若い頃から経営者の仕事をしてきたのです。

日本でも、ワンマン経営、一族経営のような会社が
逆に経営がうまくいっているように思えますが、
これは経営者が若い頃から経営者の仕事と教育を
受けてきた結果なのかもしれません。

逆に言うと、一般の大企業では、
下積みからサラリーマン社長が生まれる文化に
問題があるのでしょうか。


苦境に陥っている、日本のメーカー関連の人にお勧めです。
ゴーン改革からは改めて学ぶことも多いはずです。



生意気なようだが、どの本で会社の立て直し方を学んだのかと聞かれても、
書物から学んだのではないと答えるしかない。
その種の本を読む必然性を感じたことは一度もないからだ。


年月を重ねるにつれて、マネジメントとは職人の手作業のようなもので、
秘訣などなく、実際にみずから手がけ、試行錯誤し、多くの重要な決断を
下すことによって学ぶものだという思いが強くなった。


従業員たちが知識や教育を心から渇望していることに気づいた。
上に立つ人々はその事実に気づいていなかったし、
気づいていたとしても対応しようとはしていなかった。
従業員が出世の道を拓き会社にもっと貢献できるような訓練を
どれだけ切実に求めているか、この時に限らず私は何度も痛感した。


新しい仕事を請け負うときは先入観を持たず、常に白紙状態から始めること。
ゴーン流マネジメント・スタイルにはこの一箇条がしっかりと組み込まれている。


月間30パーセントの割合で上昇するインフレ経済においては、
儲かっていると思っていたら実際には赤字を垂れ流していた
という可能性さえある。


数字が教える現実は、例えて言えば水晶球を通して見る世界である。
ハイパーインフレ下では、それはぼんやりした景観でしかない。
それを見た者は、ゆがんだ景観を体系的に再構成し、
本来見えるはずの情景に置き換えなければならない。


ル・ピュイの工場長に任命されたとき、
私は入社後たかだか二年しかたっていなかった。
工場長は普通なら勤続二〇年以上のベテラン社員が就任する地位だった。


ルノーの人々が、アイディアそのものは重視するものの、
それを実行するという部分を軽視していることを物語っていた。
彼らはアイディアにほれ込み、延々と議論するくせに、
実行のための詳細を十分に検討することもなければ、
進行状況を厳密にモニターするということを怠っていた。


チームの一員にすぎない立場で
クロス・ファンクショナリティを提唱することは難しい。
陣頭指揮をとるのはやはりトップが適任だろう。


彼らは副社長みずから熱心にプレゼンテーションを行ったことに
強い印象を受けたという。
日本では伝統的に副社長が長々と熱弁を振るうことはない。


復活に貢献するチャンスは社員全員にあるが、
貢献したくない社員には二度とチャンスは訪れないと言い渡した。


辻は明らかに日産の直面した問題の核心のひとつを認識していたのだ。
それなのに、なぜ何らかの行動に出なかったのだろうという疑問が沸いた。


日産の根本的な問題は、経営陣が方向を見失い、
利益を上げるためになすべきことの優先順位を見失っていたことにある。


誰もが自分達は目標を達成していると思っているのに、会社の状態は悪い。
誰もが、自分個人の仕事は、あるいは自分の部門で
取り組んでいる仕事はうまくいっていると感じ、
全ての問題の責任は他の部署や部門にあると思い込んでいる。
これが日産の姿だった。
会社の置かれた状況に責任を感じている人はひとりもいなかった。


私は人からもらうデータや情報だけに依存するつもりはない、と全社員に言った。
現状に関する情報を社員からじかに仕入れたいと思っているからだ。


暖房の設定温度を一度下げるのは、
コスト削減のための優先順位設定からの逃避である。


一般に、問題を抱えた会社では、新しい方法や適切な解決策を
見つける作業にそれほど大きな抵抗は生じない。


エンジニアは購買担当者を一段低く見ており、
社内にも購買担当者が出世し成功することはまずないという思い込みがあった。


私の経験では、企業の持つ、あるいは育むべき
最も大切なものはモチベーションである。
モチベーションは会社のすべてを左右する。
そしてモチベーションはアイデンティティと帰属意識から生まれる。


他人からプレッシャーをかけられたときよりも、
自分で自分を駆り立てるときのほうが、人は遥かに大きなことをやってのける。


最も過酷な状況でどのように対処したか。
これが人物評価の有効な方法のひとつである。


学校で教わることと家で教えようとすることが食い違ってはならない。
両者の落差が大きすぎると子どもたちが混乱するからだ。






engineer_takafumi at 22:39│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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