2014年06月11日

経済は世界史から学べ

本日は茂木 誠氏の
経済は世界史から学べ!
です。
経済は世界史から学べ!

最近、世界史にハマっているので、本書を購入しました。


本書は駿台予備校の実力派世界史講師が、
経済という観点で世界史を語ったものです。

TPPや財政の問題など、現代の経済を理解するため、
歴史的な背景を身に付けておきましょう、ということです。

ただ、私は経済を学ぶために歴史を学ぶというよりも、
歴史を学ぶために経済の視点を取り入れた本
という印象が強かったです。

そもそも、歴史というものはその多くの出来事が
経済的な理由で発生していますが、
その背景は学校では詳しく教えられていないように思えます。

例えば、なぜ江戸幕府が鎖国をしたか?
第二次世界大戦はなぜ起こったのか?
このような疑問は経済という観点で歴史を眺めると
クリアな答えを導きだすことができるのです。


また、歴史は繰り返すということを改めて認識しました。
現在は、特に経済的に未来が見え難い時代と思っていましたが、
歴史を学べばその答えは大半出てしまうのです。

歴史を学ぶことの重要性を再認識させられた一冊した。



経済を勉強している学生にお勧めの一冊です。
高校で習った歴史と経済をつなげることができるでしょう。




民間の金融業者が、金銀の預かり証として発行したのが紙幣の始まりです。
金銀をたくさん持っている金融業者が発行するため、信用されたわけです。


政府が直接、通貨発行権を握ってしまうと、
紙幣の乱発によりインフレを招きやすくなります。
そこで、銀行に国債を引き受けさせ、代わりに通貨発行権を独占させたのです。


マルクを捨てて統一通貨に加われば、マルク高不況にならずに済みます。


ギリシアで混乱が続くのは、ユーロ採用に伴い、
独自通貨ドラクマの発行権を手放してしまったことが最大の原因です。


今のドイツは「ユーロを通じて欧州を支配する第四帝国だ」、
と皮肉られています。


江戸幕府が鎖国に踏み切ったのは、キリスト教を警戒したのと同時に、
銀の流出を恐れたからです。


世界恐慌で各国が金本位制から離脱し、貿易がストップしたから
日本とドイツが暴走した。戦後は貿易を自由化しよう。
関税を引き下げ、金本位制に戻そう。


経済力の違いすぎる国々が通貨統合したことに、無理があったのです。


グローバリズムは常に、経済的強者に恩恵をもたらします。


ドイツの統一は、政治的・軍事的には
隣国フランスの脅威に対抗するのが目的でしたが、
経済的にはイギリスの自由主義に対抗するものだったのです。


植民地を独占市場として囲い込み、生産拠点(工場)も植民地に移して
生産コストを抑えることによって、イギリスは息を吹き返します。


日本・ドイツ・イタリアの枢軸国を第二次世界大戦へ駆り立てたものは、
ブロック経済という名の極端な保護主義だったのです。


TPPは事実上の日米FTAです。


客家は、移住先では山間部の貧しい地域に住むことを強いられたため、
農業ではなく商業金融活動に活路を見出し、
「中国のユダヤ人」とも呼ばれます。
海外に移住した中国商人、華僑の多くは客家の出身です。


『旧約聖書』では利子に対し厳しい規定がありましたが、
「外国人=異教徒からの利子を取ることは罪ではない」
とされています。


証券会社は、踏み倒されるリスクを覚悟のうえで、
利息の高い(収益の高い)サブプライムローンに群がったのです。


豊臣秀吉の日本統一と朝鮮出兵、豪壮な安土桃山文化を
経済的に支えたのは、日本銀の産出を輸出でした。
江戸幕府を建てた徳川家は銀の輸出を一手に握るため、
諸大名に外国との交易を禁止し、
幕府直轄領の長崎だけに貿易を制限します。
これが「鎖国」です。


「何とかの改革」はみな、農業回帰の緊縮財政といっていいでしょう。


藩の多くは財政赤字を抱え、大商人に多額の債務を握られていました。
廃藩置県に際し、中央政府は藩の債務を全て肩代わりすることを
約束したのです。


債券市場のプロたちは、日本政府が財政破綻するとは思っていません。


世界恐慌ですが、実は、世界で一番早く
この恐慌から抜け出したのは日本なのです。


高橋是清の死により、際限なき軍拡と戦争の時代が始まります。


国民が政府にカネを貸しているのですから、本当は、
「1000兆円は、国民1人あたり○○万円の債権だ!」
という言い方のほうが正しいのです。







engineer_takafumi at 01:34│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経済・会計・お金

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