2017年02月02日
「タレント」の時代
本日は酒井 崇男氏の
「タレント」の時代
です。
本書は著者の講演を聞き、興味を持って購入しました。
本書の著者は大手通信会社で研究者として働き、
その後独立し、人事関係のコンサルティングを行っています。
著者はまず、現在は価値の源泉の大半は設計情報にあり、
これで劣っていると製造工程で取り返せるものでは
ないと指摘します。
そして、その設計情報を優れたものにするためには、
どうするべきか、という話に移るのです。
ここで重要なのは、「タレント」つまり、
抜群の学習能力を持ち、仮説検証を繰り返しながら、
目的を達成する能力がある人、ということです。
もちろん、こんな素質のある人は多くはありません。
しかし、こんなタレントをどのように扱うかで、
その企業の設計情報の質が決定されるのです。
何となく気づいていることではありますが、
それが的確に言語化されていて、
興味深く読むことができました。
個人的には、
米国人が優れているのは、実は「調査能力」である。
という部分が印象に残りました。
組織の上に立つ人、大企業で
人事の仕事をする方に、お薦めの一冊です。
現在において、人事のあるべき仕事が
見えてくることでしょう。
「タレント」の時代
です。
本書は著者の講演を聞き、興味を持って購入しました。
本書の著者は大手通信会社で研究者として働き、
その後独立し、人事関係のコンサルティングを行っています。
著者はまず、現在は価値の源泉の大半は設計情報にあり、
これで劣っていると製造工程で取り返せるものでは
ないと指摘します。
そして、その設計情報を優れたものにするためには、
どうするべきか、という話に移るのです。
ここで重要なのは、「タレント」つまり、
抜群の学習能力を持ち、仮説検証を繰り返しながら、
目的を達成する能力がある人、ということです。
もちろん、こんな素質のある人は多くはありません。
しかし、こんなタレントをどのように扱うかで、
その企業の設計情報の質が決定されるのです。
何となく気づいていることではありますが、
それが的確に言語化されていて、
興味深く読むことができました。
個人的には、
米国人が優れているのは、実は「調査能力」である。
という部分が印象に残りました。
組織の上に立つ人、大企業で
人事の仕事をする方に、お薦めの一冊です。
現在において、人事のあるべき仕事が
見えてくることでしょう。
知識や才能を元に価値を生み出す人達や、
そうした人達を組み合わせてさらに大きな価値を生み出す
「人材論」と「組織論」は、まともに説明されずに、
今日まできてしまったのである。
製造工程における日本的品質管理の手法は現在、
世界標準になっている。
これは1980年代以降、海外の人達が
日本企業の品質管理を研究・調査した成果である。
利益の観点からしても、設計情報が
ほとんどの経済的付加価値を生み出している。
スターバックスで私達が買っている価値は、
スターバックス各店舗の従業員達が生み出した価値ではない。
彼らの労働は、いわば台本通り設計情報を
転写しているだけである。
日本企業に足りないのは、目的的に活用するための、
人材に対する考え方と人材を生かす仕組みである。
あるメディアによると、買収金額の内訳は次のようなものである。
まず10億ドルは、Nestの起業としての価値である。
そして残りの22億ドルは創業者のトニー・ファデルの価値である
創造的な診断や創造的な処方をする臨床医は、
そのうち免許を剥奪される。
人事制度のような無形の慣行は、
たしかに有形の歴史的建造物と違って目で見えるわけではない。
優秀なタレントは、同時に何らかの分野の
プロフェッショナルやスペシャリストであることが普通である。
優れたタレントは、知識にせよ職業にせよ、
「目的」を達成するための「手段」だと考えているところに、
際立った特徴がある。
優れたタレントは、
一つの分野の専門家に留まっていることは稀である。
優秀なタレントは、真の基礎、基礎、応用といった
各階層の知識を目的的に動員する。
足りない知識は、下の階層にさかのぼって
短期間で獲得していく。
現在最も貴重なタレントは、
「広くて深い真の基礎、基礎の知識を持ち、
二つか三つの専門分野があり、目的的に、知識獲得をしながら
アナリシス・シンセシスを繰り返し答えを出す人」
「B級人材の心理」は組織を弱体化する一方、
ライバル企業にとっては、足下に付け込むチャンスである。
A級人材はA級人材と知り合いである。
利益の源泉、富の源泉は経営学の「専門外」である。
スティーブ・ジョブズは、
「昔のソニー」を教科書にしていたのである。
A級人材からすれば、自分より能力の落ちる人材が
トップを務める企業を利用したり、やっつけたりするのは簡単である。
主査は製品の社長であり、社長は主査の助っ人である
トヨタの主査は、各部署に方針・指示を出すことはできるが、
各部門担当者に対しては人事権を一切持たないという。
主査の言っていることが間違っていると思えば、
各部署の担当者は従わないことがある。
実践的な知識を持つ博士三乗くらいの人は
実業の世界にいるものである。
目的がなければ、人間は知恵が出てこない。
無目的には創造できないのである。
米国人が優れているのは、実は「調査能力」である。
米国人は創造性よりも調査能力が優れている。
米国人は、勝負に負けたときには、内心は負けを素直に認め、
謙虚に相手の強さに関するノウハウを徹底的に調査・研究する
性質がある。非常に謙虚な人達なのである。
彼らと日本の負け組企業との決定的な違いは何か?
それは本書で説明してきたように
「製品開発に関わるタレントが富の源泉であること」
を理解していることである。
「タレントを理解できるタレント」が
ベンチャーキャピタルを運営しているのは言うまでもない。
現状のシリコンバレーの仕組みでは、
息の長い研究開発・技術開発には向いていないかもしれない。