2017年11月15日

ビットコインは「金貨」になる

本日は石角完爾 氏の
ビットコインは「金貨」になる
です。
ビットコインは「金貨」になる 円崩壊に備える資産防衛策

本書は国際弁護士として、欧米を中心に、
金融のサポートなどで多数の実績を持つ著者が
ビットコインの先進性について書いた一冊です。

本は歴史的に通貨がどのようなものであったか、
いかに不安定であったか、というところから始まり、
それと対比させて、ビットコインの可能性を説きます。

著者が主張するように、歴史を振り返ると、
民衆は国家が発行する貨幣に振り回されてきました。

ビットコインは、経済を民衆の手に取り戻す、
チャンスなのかもしれません。

誇張と思えるような部分もありますが、
技術的には無味乾燥なビットコインについて、
読者が興味を持てるような切り口で語っていて、
最後まで一気に読み通せました。


個人的には、
「サトシ・ナカモト」の正体を探る
という箇所が面白かったです。
(真偽は棚に上げておきますが……)


技術的は苦手だけど、ビットコインを知りたい
という人にお勧めの一冊です。
歴史にからめて説明がされているので、
文系の方にもビットコインのインパクトが
スムーズに理解できるでしょう。



偽札が流通すると、
その国の通貨の価値が下がってしまうのである。


銀行のコンピューターにハッカーが侵入して、
あるいは内部の人間の手で、
記録を書き換えて自分の残高を一兆円にするというのは、
論理的には可能である。
しかし、ビットコインでは、
これが絶対に不可能なシステムになっているのだ。


たとえば香港では、
それまで使われていた香港通貨を禁止し、
日本の軍票のみを唯一の通貨として流通させることにした。
この軍票は金と交換することができず、
日本円とも交換できない。
これで占領した地域の経済は、
完全に日本軍が支配できることになる。


1858年、アメリカ合衆国、フランス、イギリスとの間で
江戸幕府は通商条約を締結し、
「重量にして同じものであるならば、
海外の通貨は日本で同等の重量の紙幣の価値に相当する」
という不平等条約を押しつけられていた。
これによって外国人たちは、海外で銀を調達し、
日本の銀貨に交換する。
その銀貨を、日本でさらに金貨に交換した。
これによって莫大な利益を上げることができたのである。


ペルー製の偽造100ドル紙幣は、闇市場で64ドルで取引されている。
しかし北朝鮮のスーパーダラーは完璧な偽造通過であるため、
高値で取引されている。


シークレット・サービスの捜査官が、
ビットコインを非合法で取引している「シルクロード」という
闇サイトの強制捜査に入ったというのである。
シークレット・サービスは、
シルクロードから大量のビットコインを押収した。
ビットコインを押収したといっても、
札束や貨幣を押収したわけではない。
コンピューター上で取引できないように、
あるいは移動処分できないように、
サーバー内に暗号キーを付けて保管したということだ。


後に、当のシークレット・サービス捜査官が、
押収した約70万ドル相当のビットコインを
自分のパソコンにそっくり移してしまっていたことが発覚した。
(中略)
この捜査官はシャウン・ブリッジスという人物で、
捜査当局に逮捕されて6年の刑期を食らった。


シークレット・サービスの技術をもってすれば
ビットコインはもはや匿名取引ではなく、
銀行の口座と同じように、誰がどんな取引をしたか、
すべて特定できることが明らかになったのである。


世の中でただ1人、
開発者だけが匿名性の高いビットコインを
利用する者を特定できる、ということだ。


ビットスタンプで買ったビットコインは、
自分のPCに取り込んでおくことも可能だし、
預けておくこともできる。
そしてビットスタンプを通じて、第三者に送金することも簡単だ。


ビットコインを手に入れたら、
それを自分自身のパソコンやメモリースティックなどに
保管しておくのも一案である。
しかし、火事に遭ったり、盗難に遭ったり、
パソコンのハードディスクが壊れたり、
スティックを紛失すればアウトである。
(中略)
そこで世界の潮流は、先に述べた
「ビットコイン・ストレージ」に預けるということである。


米ドルの流通の97%は実はアメリカのフェデラル・リザーブ、
すなわちアメリカの中央銀行のコンピューターに
記憶されているだけにしか過ぎないのである。


問題は、クレジットカードシステムには
実は非常に重大な脆弱性が含まれていることだ。
それは正にクレジットカード情報を
相手に渡すという点から来る。





engineer_takafumi at 22:11│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経済・会計・お金

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