2018年02月12日

逆境のリーダー

本日は大塚 明生氏の
逆境のリーダー
です。
逆境のリーダー ビジネスで勝つ36の実践と心得

本書は関係者の方よりご献本頂きました。
オトバンクの上田様、ありがとうございました。

著者の大塚氏は三井住友信託銀行にて、
日本の企業年金マーケットのトレンドを牽引、
過去15年の月間シェア争いで180戦160勝の
実績を挙げてきました。

また、投資・金融に関する5冊の書籍を著したり、
グリニッチ・アソシエイツ(米国)の
アニュアルカンファレンスでスピーチするなど、
業界の先頭に立って活躍されています。


本書はそんな著者が小さな組織がどうやって、
大きな組織に立ち向かうか、というリーダ論です。

私も知りませんでしたが、三井住友信託銀行は
三井住友ファイナンスグループに属しておらず、
信託銀行業界では小さな組織だそうです。

その中で、大手を相手にどのように戦ってきたか
ということがまとめられています。

リーダー論としては標準的な内容ですが、
著者が企業年金をどうやって伸ばしてきたか、
その実例がとても興味深い一冊でした。


個人的には、
「不言実行」でなく「有言実行」
という部分が特に印象的でした。


本書の前書きには、
「ひたすら昇進したい。
そういう方には本書はお役に立ちません。」
とありますが、昇進したいと考える人にお勧めの一冊です。
リーダーのあるべき姿を学べ、
結果、昇進を早めることができるでしょう。




三井住友信託銀行は
三井住友ファイナンスグループに属していません。
他の信託銀行が同系列のメガバンクの傘下に
入っているのに対し、当社は、
国内唯一の独立系信託銀行です。


会社は民主主義ではない。
リーダーが決めて責任を負う場所だ。


話し合ってから、決めるのではありません。
決めてから、人の意見を聞くのです。


みんなが反対してもやるんだ。
そういう案件のほうが、当人の緊張感や責任感が
強くなって成功することが多い。


最初は少なくてもいい。
熱烈な支持者を得られれば、
彼らが人々の心に火をつけてくれるのです。


組織力はリーダー個人の能力だけで決まるものではない。
弱みを自覚し、それを補う人材活用で
チーム力を引き上げる。


「不言実行」は、成功した後に「これをやりました」
と言えばよく、たしかにカッコいいですが、
結果が出なかった時には黙っていることができます。


失敗は許しながら、その敗因分析を徹底することが重要です。
成功も、もっとうまく勝つことができなかったか
同じように分析します。


数は少ないけれど額の大きい大規模先で成果を盤石にする。
しかも、あえて困難な顧客で実績を上げて、
業界にインパクトを与える。
その成果をシャワー効果でミドル層に波及させる。
その際、不特定多数を「特定多数」に束ねて
アプローチ先を絞る。


ストーリの定石としてよく「起承転結」が
挙げられますが、この場合「転」は必要なく、
その代わりに4章で述べる象徴的具体例を入れた
「起承例結」がベストです。


資料は何のためにあると思いますか?
参加者の理解を助ける、それではまだ不足です。
参加者が会社に持ち帰って上司を説得し、
組織的決定を助けるためにあるのです。


ハナから目標数字は仮置きくらいに考えています。
目標の達成・未達成はわかりやすいので、
これで評価するほうが部門トップとしては楽ですが、
目標数字を追ってさえいれば
経営が成り立つのなら苦労はないのです。


自社も悪いが他社もそれ以上に悪い。
その結果、業界内シェアは向上している、
というのなら前向きに捉えていいのです。
目標数字を達成していなくても部下を褒めるべきです。


社内目標は達成しても業界内シェアが低下したなら、
これこそが問題です。
今はよくてもいずれ競合他社に呑み込まれてしまいます。


人材は育てるものではない。
見いだし、磨くものである。


何をやるべきか、何をやりたいかを最優先に考える人は、
周りの反対があってもやるべきことを
やり抜こうとします。
少数派、異端、へそ曲がりなどと言われても、
自分が正しいと判断したら、それを貫きます。


大したことのない問題については
最初から何も言わず、すっかり人に任せてしまう。
中くらいの問題については他人の意見も聞き、
どちらでもよいと判断した時は、必ず自分が譲る。
最後のごく大切な問題については、
最後まで徹底的に論争し、そして絶対に譲らない。


それぞれの部下を見て、
任せるに足る部下にはボトムアップ型、
そうでない部下にはピラミッド型と、
2つを混ぜて対応するものだと考えています。


本人がどんな狙いでどのように工夫したかを
見抜けるだけの深い造詣があってこそ、
褒めることの効果があります。


新しい部門を作ろうというとき、
最も重要なのはリーダーを誰にするかです。
だから私は最初にリーダーを想定して、
その人材に合わせて細部を詰めていきます。


自分の適性は自分ではなかなかわからないものです。
その時は合わないと思う仕事も、
必ずどこかで活きてきます。
その仕事自体を改革する人間に将来なるかもしれない。


PDCAが、単なる試行錯誤に陥らないために
緻密な仮説づくりと、仮説との照合を怠らない。


営業の現場でディスカウントを食い止めるためには、
まずリーダーが率先して
他決のリスクを覚悟することです。
足元の数字も欲しくなりますが、
そこはやせ我慢をしてでも、部下に価格競争はさせない。
それが付加価値、クオリティアップを後押しし、
大きな敵さえ凌駕できる組織をつくるのです。


社会や人間に関心を示すこと、
これがリベラルアーツの入り口です。





engineer_takafumi at 00:36│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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