2018年09月11日

ビジネススキル・イノベーション

本日は横田 尚哉 氏の
ビジネススキル・イノベーション
です。


本書は公共事業を中心に、10年間で総額1兆円の
事業改革に乗り出し、2000億円のコスト削減を
実現したという経営コンサルタントによる一冊です。

著作も何冊かある横田氏ですが、
本書はその中でもビジネススキルに特化した
内容となっています。

時間の見積もり方、仕事でのコミュニケーション、
チームのマネジメント、リスクと感性、決断の仕方など
大企業経験も長い著者が成果を出す行動について語ります。

企業の問題をとてもうまく言語化できていて、
何度か「あるある」と口に出しそうになりました。

内容はいかに効率的に仕事をこなすか、
ということに主眼が置かれています。

ベーシックな内容の中に
著者の経験が光っている一冊でした。


個人的には、予算管理についての部分が
強く印象に残りました。

企業の予算管理の実態をよく把握されていて
対処方法がとても興味深かったです。


仕事に追われて苦しいと感じている、
企業の管理職の方にお勧めの一冊です。
生産性を大幅に向上させる
ヒントを得ることができるでしょう。




誰にとっても一日は二四時間。
物理的な量に変わりはありません。
それにもかかわらず時間を奪われたように感じるのは、
時間の質が低下しているからです。


仕事には想定の1.4倍の時間がかかる


メールを読んだ後に時間を置くと、
仕事をしていないときにも問題意識が勝手に動いて、
思考の材料を集めてくれます。


5〜10倍の時間的余裕を持つ目的は、
作業の中断時間をつくることにあります。
中断時間を意図的につくるためには、
とにかくいったん仕事に手をつけることが大事です。


ルールを強調しすぎると、ルールを守ることが目的化して、
モラルが軽視される逆転現象が起きる。
過剰なルールが、かえってモラルの低下を引き起こすのです。


多くのリスクが潜む未知の領域を、
知性でとらえることはできません。
知らないことすら知らないのだから、知性の対象外です。


未知のリスクは感性で察知するしかないのに、
私たちは知性を磨くことでリスクを
マネジメントしようとします。


リスク感性を磨くためのとっておきの方法をお伝えしましょう。
ランチを食べにお店に入ったら、
注文するメニューを0.5秒で決める、これだけです。
瞬時の判断が、感性を磨くトレーニングになります。


もしいま、あなたがデータに頼って
物事を判断しているとすれば、
ひとたびデータの質や量が十分でない状態のとき、
必ず行き詰まります。
そして行き詰った原因をデータの不備に求めることでしょう。


感性を磨くためには、データがあろうとなかろうと、
まず感性ありきで物事を判断することが大切です。
あくまでもデータは、感性を刺激し、修正する手段にすぎない。


最終的に帳尻が合えばいいという考え方は短絡的です。
途中のプロセスしだいで全体の利益が
大きく変わることを意識して、
進捗を管理する必要があります。


大きなトラブルがあってプロジェクトが中断したあと、
元に戻すことを考えるのではなく、
いま目指すべきところはどこなのかという
目的の設定から考える。


組織の動きを鈍くするものはいくつかありますが、
その最もたるものは「予算管理」でしょう。


現在の予算管理のあり方は、
ムダが次々と生まれていく仕組みになっています。
予算は必要であり無視できませんが、
管理を頑張れば頑張るほどムダが生じてしまう。


じつは一般的な予算管理がムダを生み出す構造になっているのは、
予算管理の本来の目的から外れて、
管理のための管理になっているからです。


予算管理を分析すると、その目的は
《戦略を実現する》、《管理を容易にする》、
《利益を確実に得る》、《やる気を引き出す》の
四つに集約されます。


PDCAサイクルが長く、
ムダが温存されやすい問題に関しては、
四半期決算が有効です。
つまり、予算管理サイクルの短縮化です。


大幅に削られた予算で従来と
同じ目標を達成しようと考えるのなら、
これまでの手段を思い切って手放すことです。


知識をストックしていけば、「ものしり」に
なることができるかもしれません。
しかし、ものしりだから仕事がうまくいくわけではない。
むしろ大量の知識は、情報処理の邪魔をします。


人脈ができないのは、
自分が提供できるファンクションに魅力がないからです。


人脈を整理して絞り込むのは、
たんに仕事の生産性を高めるだけでなく、
人生で大事な人とつきあう時間を確保するためでも
あるのです。


貴重な時間を投資することでしか、
差別化要因となる経験は入手できないのです。


時間を投資して行動量を増やしているのに
セレンディピティが起きない人は、
最初に意識のアンテナを張っていない可能性が高い。
意識があってこその行動です。


セレンディピティのためには、いっけんどうでもいい情報を
受け止められるだけの余裕を脳につくったほうがいいのです。
大切なのは緊張より緩和です。


重要なのは感性です。
感性が乏しいと、人は知性に頼ります。
しかし知性では不確定要素の多い未来を
思い描くことができません。
知性はあくまでも、感性できめたことが
ぶれていないかどうかを測定、検証、補正
するためのものです。感性の変わりにはなりません。


未来思考では、いま起きている現象を、
ある「目的」を達成するための「手段」として位置づけます。
目的は「何のため?」という問いかけによって明確化します。
「なぜ?」が過去思考の本質なら、
未来思考の本質は「何のため?」です。


いい波にだけに乗ればいいじゃないか、
と考えるのは間違いです。
波を選ぼうと考えている時点で、
波に乗り遅れる可能性が高いからです。







engineer_takafumi at 23:52│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 仕事術、思考法・ツール

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