2019年08月24日

Third Way(サードウェイ) 第3の道のつくり方

本日は山口 絵理子 氏の
Third Way(サードウェイ) 第3の道のつくり方
です。


本書は「途上国から世界に通用するブランドをつくる」
をミッションとして、株式会社マザーハウスを設立した
山口氏による一冊です。

この本のテーマは、「第3の道」です。
つまり、利益と社会貢献、といった
一見、相反する2つの事柄を
トレードオフでなく、両立させる道を見つけよう、
ということです。

バングラディッシュやネパールなどで生産しながら、
13年連続で売上を伸ばしているマザーハウスには
ぴったりのテーマです。

山口氏自身も社長として経営を行いながら、
チーフデザイナーとしても活躍しています。
相反するように見える2つの仕事を
うまく統合して、新たなる価値を生み出しているのです。

「社会性とビジネス」「デザインと経営」の他に
「個人と組織」「大量生産と手仕事」「グローバルとローカル」
という対立について、第三の道を示してくれます。

21世紀になって、20年ほどが過ぎますが、
日本の企業は以外に変化できていません。

そんな日本の中で、次世代のビジネス像を
提示してくれる一冊といえると感じました。


個人的には、
「これからは主観の時代になる」
という部分が特に印象に残りました。

主観は「ひとりよがり」にもなりやすいですが、
著者がそれをどのように商品に統合しているか
学ぶことができました。


山口さんが言っていることは、
新しい時代の経営のトレンドになると思います。
それを学びたい人にはお勧めの一冊です。





社会貢献がしたいという思いだけではビジネスはできない。
日本では約200人、グローバルでは約600人のスタッフが
マザーハウスで働いている。
給料を払い、彼らの家族をも支えなくてはならない。


小分けしたゴールは自分次第でいくつでも配置できる。
最終ゴールまでの道のりが長すぎて
息切れしそうなときには、
まずは小分けしたゴールの一つ目に向かおう。


当時の私には「ビジネスを始める」という意識が
1ミリもなかったと思う。
その代わり、絶やさなかったのは
「この布を縫って、バッグをつくってみせる」という思い。


バングラディッシュでバッグ160個をつくって、
どうにかして日本で販売しようともがいていたとき、
最初に「取材したい」といってくれた
メディアのタイトルには「社会起業家」
という言葉が含まれていたのだが、
私はその意味をよく知らなかった。


ビジョンが決まったからといって、
それだけに集中するなんてつまらない。
途中で「あ、こんなこともできたらいいな!」
は絶対に生まれる。
そうしたらどんどん柔軟に、夢の中に取り入れてしまうのだ。


誰かの仕事を生み出し、商品を生んでいる時点で、
どんな企業、どんな仕事も「社会貢献」はしている。


人を探すことには、時間をかける。
時間をかけることは、誰にとっても平等な手段だ。


「適切なる競争の舞台を探すこと」は、
実は、競争に勝つことよりもずっと大事なのだが、
あまり意識されない。
コンフォートゾーンから飛び出して
競争現場に出ていくことは、
自らの学習機会を得ることと同義だ。


経営をしながら商品をデザインする。
これは、右脳と左脳の両方が真反対の方向に働く作業だ。


経営とデザインは、二項対立ではない。
両者をかけ算して初めて、ブランドが
らせん階段のように一歩一歩成長できる。
そして、二つの視点からプロダクトや組織を見ることで、
ベストな判断ができる。


自分が心から好きなもの、おもしろがれるもの、
美しいと感じられるものは何か?
これからは"主観"の時代になる。


不満を解消するだけでは、
これ以上先には進めないのかもしれない。
本当の意味での「デザイナー」になれ。
誰かにそう言われている気がして、揺さぶられた。


「お客様の声を聞かない」初めての挑戦だった。
"自分の内側"を、私は初めてさらけ出した。


フォルムが斬新な「プロダクトアウト」でも、
使いやすいポケットを内側につけて、
お客様のニーズに応えられる。
今までとは違う大胆な機能のバッグでも、
色味は最近のお客様の好みに合わせる。


主観とお客様のニーズをかけ算していことで、
お客様とキャッチボールしている感覚が私にはある。
そうやって生まれたアイディアを
さらに昇華させていくことが、
私なりのサードウェイのものづくりだ。


日本の経営者は、とにかく
「数字にできないものごと」への恐怖心が大きい。


人間が理由なく「感じる」ストレスや違和感は非常に大事だ。
その感覚を無視しない。
しっかりと受け止めて、「なぜそう思うか?」を考えてみる。


情深いところがある彼は、
社員の前で話しながらよく泣く。
隣で聞いていて
「あ、今日はずいぶん感情に引っ張られているな」
と感じたら、私はデータの話を淡々としたり、
意図的に対極にいようとしている。


チームで仕事をするには、
その感覚や感性を大事にしながらも、
きちんとその理由を自分なりに「説明」し、
「伝える」ことが非常に重要だということを、
たくさんの失敗をして知った。
「なぜそんな考えをするのかまったくわからない」という、
チームメンバーの頭の中が「??」だらけの仕事に
エネルギーは生まれない。


水面下で準備をせっせと進めて、
いきなり試作品を見せる。
だって、頭で一生懸命考えて、
最適な説明をこねくり回すよりも、
"実物"はあるかに饒舌だから。


起業しようと決めたとき、
スケッチブックにお店の絵を描き、
看板に「MOTHERHOUSE」という文字を書いたときから、
イメージは揺るぎないものになった。
今も、1年後に引き寄せたい夢は、
ビジュアルとしてハッキリと描いている。


お客様に発表するのの何倍も、
みんなに見てもらうときのほうが、緊張する。
理由はシンプルで、スタッフのみんなに喜んでもらえなければ、
お客様が喜ぶ姿を想像するのは難しいからだ。


「らしさ」の部分はブランドの「内面=哲学や価値観」にもち、
それを伝えるプロダクトやお店は時代の変化を
ふんだんにキャッチする。
つまり、ブレない哲学を持ち、戦術は柔軟に変えていく。


「5時には帰りたい」というお母さんやお父さんの
スタッフの希望を聞くことと、
組織のアウトプットを最大化することは、絶対両立できる。


リーダーが弱さを見せられる組織は本当に強い。
完璧でない未完成なリーダーを抱えたスタッフも、強くなる。


品質がぶれやすい手仕事にも「基準の範囲」をつくり、
それを共有し、改善し続けるオペレーションを構築していく。


自分たちの成功パターンを当てはめようなんて、間違っている。
想定した答えをぶつけにいくのは間違いで、
「今、そこにあるものを最高にする」ということだけで
十分なのだと悟った。


人間と違って、モノには、肌の色による違いはない。
モノには言語や宗教という決定的な差異はない。
モノは、素材や色彩、フォルムをまといながら
国を超えて愛される可能性をもっている。







engineer_takafumi at 17:45│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 自己啓発

コメントする

名前
 
  絵文字