2021年09月20日

引き出す力

本日は上阪 徹 氏の
引き出す力
です。


本書の著者は、
書籍の著者を取材して文章を代筆する
「ブックライター」として活動を続けており、
取材人数は3000人を超えます。

また、自著を書いたり、ブックライティングを
教える講座を開講するなど、
活動の場を広げられています。


そんな著者が本書で語るのは、
「引き出す力」です。

「聞く力」ということは、
世の中で良く言われますが、
この本ではそれを一段階超えた
「引き出す力」をテーマにします。

著者は書籍を代筆する仕事をしているので、
取材によって、良い話を引き出せないと
良い書籍にすることはできないのです。

つまり、単に話してに良い気分に
なってもらうための聞き方を超えた、
一段上の技術が必要になるのです。

本書ではその質問術を52個にまとめています。

最近のオンライン取材の
対応方法にも触れられていて、
取材をする人にとっては
すぐに役立つ内容になっています。


個人的には、
ひとつの質問を投げかけると、
戻ってきた回答にその場で質問を
かぶせていくというスタイル
という部分が特に印象的でした。

一つの質問を一つの答えで終わらせず、
その後のコミュニケーションで
深く引き出すことが重要なのですね。


仕事で「取材」をする方には、
特にお勧めしたい一冊です。
人からより良い情報を引き出す
方法を学べることでしょう。





「聞く力」と「引き出す力」はまったく違う


いかにして、表面的なコミュニケーションではなく、
相手の懐に飛び込んで有益な情報を引き出すか。
相手の深層心理の奥底にある本音を聞き出して、
相手の求める興味関心やニーズ、
さらには好き嫌いを正確に把握できるか。
こうした「引き出す力」を身につけてこそ、
あなたのコミュニケーション能力も
格段にアップしていくのです。


私のインタビューのスタイルは、
あまりたくさん質問を用意しないことにあります。
1時間の取材なら、せいぜい6つほど。
したがって、ひとつの質問を投げかけると、
戻ってきた回答にその場で質問を
かぶせていくというスタイルです。


オンラインでも「引き出す」
コミュニケーションはできる。


モヤモヤ、ボンヤリが整理されていくと
何が起きるのかというと、客観化されていきます。
なんだ、こんなことで悩んでいたのか、
不安に陥っていたのか、と
冷静なめで自分を見つめることができる。


今日は取材でいろいろ聞いてもらえて、
頭の中がとても整理できた。
可能なら、定期的にインタビューだけ
してもらえないだろうか


そもそも自分に興味を持ってもらって
不快になる人はいるかどうか。
あなたに興味がある。そのためにいろいろ聞きたい。
その姿勢は、むしろ好印象を与えると私は思っています。


まず必要なことは、
「この人なら安心してしゃべれる」という
場づくりおしていくことです。
そいう空気をつくることができるかどうか。


身だしなみに問題がある人に好印象を抱く人はいない、
ということを理解しておく必要があります。


間合いやテンポを相手に合わせることを
つねに意識している


"ツッコミ"を入れられるのが好きか、
それとも嫌いか、ということ。
人はどちらかに必ず分かれるそうです。


肝に銘じているのは、不安を持たないことです。
それは本当にそうなってしまうから。
逆にいえば、不安にならないように
しっかり準備をする、ということでもあります。


ただ単に仕事で来ているのか、
本当に知りたいのかは、
明らかに相手はわかるのです。


質問のレベルより大事にしたのは、
意図がしっかりと伝わる質問をすること。
一生懸命に向かうこと。真剣に耳を傾けること。


トップセールスパーソンが、
なぜ顧客からじっくりと貴重な話を引き出せるのか。
それが顧客の利益に、顧客の幸せにつながる
という共感を作っているからです。


絶対にやってはいけないことが
あることにも気づきました。
それは、中途半端にわかっているように
振る舞ってしまうこと。


知っていても無知のフリをする、
くらいのほうがいいのです。


メモは絶対に取ったほういいのです。
相手に好印象を与えるから。
自分の話をメモしてくれている人に
悪い印象を持つ人はいないから。


私の場合は読者ですが、他の職業の人であれば、
「情報を与えたい相手」に意識を
めぐらせるのもひとつの方法でしょう。


自分をできるだけ大きく見せようという言動は、
実は相手にはその真意がわかってしまうものだからです。


人間は本当にさまざま。
本当にいろいろな人がいます。
おや? と思う人と出会ったら、
それは新しい出会いがあったということ。
興味の対象にしてしまうことです。


取材に来て、天気の話から始める記者がいた。
信じられなかった。


私は余程のことがない限り、
世間話のようなものはしません。
いきなり本題に入ってしまいます。


取材の始まりには必ず
「貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます」
という言葉を付け加えるようになりました。


顔がアップになっていると、ジェスチャーは見えないのです。
相づちは映りますが、顔のアップでは動きがよく見えない。
(中略)
では、どうすればいいのかというと、
画面を引き気味にするのです。
顔を小さくして、上半身がもっと入るようにする。
そうすることで、相づちもはっきりわかりますし、
身振り手振りのリアクションも画面に入るようになる。


ズバズバとモノ申されたとしても、
結果的に採用が成功すれば、クライアントにはプラス。
だから、モノ申す営業担当者にクライアントは
むしろ信頼を寄せていたのです。


「今日は何をしに来たのか」
「目的は何か」
「何をあなたに期待しているのか」
をしっかり語る時間を作ることです。


それほど親しくもない人から洋服や見た目について
何かを言われて、どんな印象を持つか。
実は意外に、違和感があったりしないでしょうか。


せっかくコミュニケーションをするわけですから、
もらった答えに反応していく。
実はこれこそが、コミュニケーションの醍醐味であり、
引き出す力のキモになります。


質問を考えることは大切ですが、
ひとつ2分では深い話はできないこと、
答える側も大変であることを伝えました。


1時間のインタビューなら、
私が考える時間はせいぜい6つほどです。
6つなら、ひとつの質問に対して
10分ほどコミュニケーションできる計算になります。


質問をして、「おおそれは素晴らしい」と
思える回答がスパッと引き出せることはそうそうありません。
だから、戻ってきた答えに対して、
その場で質問を繰り出していくのです。
「今おっしゃった〇〇というのは、どういうものでしょうか」
「どうしてそのときに、そうお考えになったんでしょう?」
「そもそもその決断をなさったのは、どういう理由からだったのでしょう」
戻ってきた答えに対して、その答えの
裏側の事情について質問していくのです。


最初は答えやすい質問、だんだん抽象的な質問へ


「イエス」「ノー」で終わってしまう質問をすると、
コミュニケーションは活性化しません。
そのためには、質問のやり方を考えたほうがいい。
実は抽象的な質問のほうが、
答えに広がりを期待できるのです。


社長の話が止まらないとき、
スーッと右手を上げてしまうのです。


読者の代わりに聞くとすれば、
で考えてみるのです。
自分のための質問だと思い浮かばないのに、
読者のための質問だと思い浮かんだりします。


「質問」を「詰問」にしないことです。


相手の話を聞きながら、短いシンプルな言葉で
「合いの手」を入れていきます。
これは「ちゃんと話を聞いていますよ」
という相手へのメッセージにもなります。
話をしている側にとっては、安心感にもつながるのです。


本物の科学者というのは、難しい話も
やさしく解説できる力をしっかり持っている
方々ということです。
逆に、わかっていない人は、
難しい話を難しい話としてしか語れない。


ネガティブな話が始まったら、
一通り聞き切ることにしています。
そうしないと、次に進めないから。
いい話を引き出すことは、難しいと思えるから。
あえて、ネガティブな話をしてくるのは、
意味があると思うのです。


「私のため」ではなく、誰かのために話してもらう。
そのために読者という言葉をよく使いますし、
場合によっては他の人も使ってしまう。
誰かをダシにしてしまうのです。







engineer_takafumi at 02:41│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 書き方・話し方・言語

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