2021年05月30日

意味がわかる微分・積分

本日は岡部恒治 氏、本丸諒 氏による
意味がわかる微分・積分
です。


本書は学生時代に微分や積分を習ったけど、
「あれは一体なんの意味があったんだろう」
という人向けに、意味を解説した一冊です。

高校数学では、どうしても「受験」から
逃げることはできません。

ですから、意味を考えることより、
問題を解くことが優先されます。

そんな中で、何となく関数を微分したり、
積分して面積を求めることはできるけど、
その意味がわからない、
という疑問にピッタリと答えてくれます。

導入や説明が秀逸なだけでなく、
この手の本では取り上げられることの少ない、
ニュートン近似まで取り上げられており、
まさに「意味」を学ぶ一冊です。


個人的には
「加々速度(ジャーク)」のコラムが
特に印象に残りました。


高校数学を学び直したい、
理系の大学生におすすめの一冊です。
霧が晴れたように理解できて、
さらに高度な数学の土台となるでしょう。





・積分……「面積」=具体的で可視化しやすい
・微分……「接線の傾き」=抽象的でイメージしにくい


砲弾の軌跡の研究が微分・積分を学問として
発展させたともいえるわけです
(そういえば、世界最初のコンピュータENIAC=エニアックの当初の開発目的も「弾道計算」でした)


人工衛星の位置はsinやcosで表されますので、
三角関数の微分が利用されることになります。


原点付近でy=xとy=sinxのグラフは一致する!


明らかに、(a^x)や(log a x )のときの微分にくらべ、
(e^x)あるいは(log e x)の微分の方がすっきりしています。
(中略)
そういう理由もあって、「指数や対数の微分」といえば、
自然対数eを使うことが多くなるのです。


面積S(x)を微分すると、f(x)になったということは、
「微分の逆操作をすれば面積を求められる」
ということになります。
これが「積分」です。


薄い面積を多数集めれば、もとの体積が求められる


「加速度f'(x)をさらに微分したf''(x)には、加々速度とでもネーミングしておくか……」
と考えついた人は、正解です。
これは「加々速度(ジャーク)」と呼ばれ、
クルマの安全運転などに利用されているようです。


パップス・ギュルダンの定理
回転体の体積=回転させる面積×重心の移動距離


カバリエリの原理――面積
2つの図形(ここでは1と2)があり、一定の間隔で線を引いたとき、
対応する線の長さ(ここではa,b,c,d……)が等しければ、
2つの図形の面積は等しい。


置換積分では、置き換えによって「区間」が
変更されることに注意する必要があります。


高校で積分計算ができるのは、
はじめから「積分ができる問題」を出しているからで、
現実的には積分できない関数が多いのです。


部分積分の目的は、本来ならg(x)を積分するべきなのに、
g(x)を積分するのがむずかしい……という場合に、
もう片方のf(x)を代わりに積分し、
g(x)は微分で済ませてしまおう、というものでした。






engineer_takafumi at 01:03│Comments(0) ★理系本の書評 |  ⇒ 数学

コメントする

名前
 
  絵文字