2022年09月25日

書く仕事がしたい

本日は佐藤 友美 氏の
書く仕事がしたい
です。


本書の著者はテレビ制作会社勤務を経て、ライターに転向。
日本発のヘアライターとして、
ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』をはじめ、
数々の書籍を上梓します。

また、ブックライターとして、
ビジネス書、実用書、自己啓発書などを中心に
約50冊の書籍の執筆に関わってこられました。

そんな著者が本書で語るのは、
ライターとして稼ぎ続けるために
必要なことです。

普通ライターというと、文章力が大事
と思うかもしれません。

しかし、実際には文章力だけでは
プロになることはできません。

むしろ、取材力や締め切りを守ることなど、
プロとして文章力より大事な要素があるのです。

本書では、長く業界で活躍する著者が
多くの事例を交えながら、
プロのライターの実際の姿を学べます。


個人的には
プロのライターとして書き続けるためには、
「書き終わる」ことが大事
という部分が特に印象的でした。

書くことが好きな人は多いですが、
確かに「書き終わる」ことが
できない人は多い印象です。

どこかで原稿を手放すことが、
大事なのですね。

原稿の質にこだわりすぎると
プロとしては活躍できなわけです。


ライターになりたいと思っている人には
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
プロのライターにはどうすればなれるのか、
どんな生活をしているのか、
イメージできるようになるでしょう。



書く仕事で生きていくのに最も重要なのは、
文章力ではありません。
文章が上手いことと、書いて生きていけることは、
イコールではないのです。


正直なところ、原稿は編集者でも修正することはできる。
でも、締め切りに遅れられると、
こちらにできることはないんだよね。
だから私は、原稿が上手くて締め切りに
1日遅れるライターさんより、
原稿はそこそこでも必ず締め切りを守るライターさんに頼む


人は、自分で気づいたことしか、できるようになりません


ライターに必要なのは、才能ではなく技術です。


ライターの仕事の多くはフリー演技ではなく、
決められた場所にボールを投げなくてはいけない
仕事なのです。


「どこに向かって書くか」は、
実は「何を書くか」と同じくらい重要で、
読者に対する相場観を持てるかどうかは、
ライターとして生き残れるかどうかの
大きな境目になります。


ライターという職業でなければ、
知ることがなかった知識を得たり、
あうはずのなかった人と出会えること。
この「強制的に人生が豊かになっていっちゃう感」が、
私はとても大好きです。


どんなに自分の存在を消そうとしても、
否が応でも自分がにじみ出てしまう。
それが、「人が人を取材して原稿を作る」
という行為なのです。


プロのライターとして書き続けることが
できるかどうかは、
「書き終わる」ことができるかどうか
だと思っています。


完璧な原稿なんて、絶対に一生書けません。
だから、書き始めた原稿は、
どこかで手放さなきゃいけない。


「書く仕事」のなかで、ライターの職業に一番近いのは、
翻訳家だと私は思っています。
特にインタビュー原稿や書籍の原稿においては、
求められている職能がとても似ている
と感じる面が多々あります。


相手の意図をくみ取って、
最も適した日本語表現に置き換えるという点は、
翻訳作業にとても似ていると感じます。


自分には「これがやりたい!」といった、
強いテーマがない。
だから、テーマを強く持って生きている人に
取材するのが楽しい。


私がライターにとって一番大事な素養さと感じるものは、
「対象に興味を持ち、面白がれる能力」
だと思っています。


「わかりやすい」文章を書くのは、
実はそこまで難しくありません。
なぜなら「わかりやすさ」は、感覚ではなく
明確なロジックだからです。


・一文を短くする
・前後の因果関係をはっきりさせて書く


収入に対して一喜一憂しやすいセンシティブな人や、
収入が減ると不安になる人などは、
フリーランスを続けるのは結構
疲れるかもしれないです。


シームレスな時間を過ごしたくて、
この仕事を選んでいるという側面もあります。
なので、仕事をプライベートを両立させよう、
つまり「両方立てよう」とはさらさら思っていなくて、
単に24時間をどう使うか、とだけ考えています。


聞くだけでは到達しない場所に、
書くことによって手が届くんですよね。


パソコンでメモをとっていたライターに激怒して、
取材が中断されたという話を、
これまでに何度も聞いて震えました。


自分を売り込むのではなく、企画を売り込む


「いま、すでに知っている人たち」と、
誠実に関わっていけば、自然と伝手は生まれる


同じ商品を紹介するのでも、
読者が「高値の花」だと思っているのか、
「少し背伸び」なのか、「ちょうどいいくらい」なのか、
「安い」と感じるのか。
その、読者の感覚を持って書けることを、
相場感があると言います。


書いた文章が上手いかどうかよりも先に、
そもそも、その媒体の相場感に会っているか
どうかをチェックされる。
それが媒体で原稿を書くという仕事です。


○○さんについて書かれているものは、
なるべく読み込んできました。
ですので、その前提でお話いただいた大丈夫です


*その方に、読者代表として質問ができるレベルになる
*その方が話していることのどこが画期的なのかわかるレベルになる


私の友人がこういうことに悩んでいるのですが、
先生だったらどうアドバイスされますか?


私が、取材のときに意識しているのは
「犯人しか知らない証拠」
を聞き出すことです。


ライターの仕事=言語化のお手伝いをすること。
言語化のお手伝いということは、すなわち、
取材相手の思考を押し進めることに他なりません。


インタビューが上手い人は、モテます。
これは、おそらく傾聴のクセがつくからでしょう。


一文を短くすれば、
1,主語と述語がねじれる
2,就職後と被修飾語の関係があやふやになる
3,てにをはが変になる
あたりは、すべてなくなります。


編集さんから「構成が悪い」と指摘されたら、
因果関係がはっきりしていないのだと思えばいいでしょう。


読みやすい文章の条件に
「一度読んだところを、遡って読み返さなくてもいい」
と「誤読されない」があります。


私は赤字が大好物です。
赤字は編集者からのラブレターと思っているくらい好き。


誰かに褒められますように、と書いた文章って、
なぜだか人に届かない。
多分、どこかに濁りが出るのだと思います。


企画を立てるときは
以下の2点を意識するといいそうです。
1,その道のプロにとっては常識だけれど、一般の人にとっては非常識なこと
2,その道のプロにとっては非常識だけれど、一般の人にとっては常識なこと


わーん、ごめんなさい。
あなたのための本じゃなかったんです。
お金と時間をかけてくれたのにごめんなさい


人脈が仕事に生きるとしたら、
それは「こっちが相手を知っている状態」ではなく、
「相手に私が知られている状態」、しかも
「信頼できる状態」で「知られている」場合のみです。


流行ると、廃る。
雑誌の業界で、あの人ちょっと古いよね
と言われるのはみな、
大ブレイクした人たちばかりでした。


「どこから見るか」と「どこを見るか」の
組み合わせであれば、
凡人でも組み合わせ次第で角度のついた
面白い切り口が作れるような気がしました。





engineer_takafumi at 10:17│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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