2021年01月17日

図解 渋沢栄一と「論語と算盤」

本日は齋藤 孝 氏の
図解 渋沢栄一と「論語と算盤」
です。


本書の著者は明治大学の文学部の教授であり、
渋沢栄一の関連書を精力的に書かれてきました。

そんな著者が一般向けにわかりやすく
渋沢栄一を説きます。

栄一はともすれば経済人として、
商売の人と見られることも多いですが、
彼ほど『論語』に精通した人はおらず、
道徳的、倫理的な生き方を徹底されていました。

彼の立場だと、大財閥を作ることは簡単で、
三井、住友、三菱のように財閥を作って、
身内に財産を残すこともできたでしょう。

しかし彼は、子孫に財産を残すこともせず、
国のために自分を捧げたのです。

本書では栄一の生涯はもちろん、
彼の生涯を通して学べることをまとめています。
ですから、自己啓発の本のようにも読めるのです。

また、関連人物の紹介にも多くページが割かれており、
彼の人物像を立体化させています。

2024年の新1万円札の肖像となるようですので、
栄一の生涯についてもっと多くの人に知って欲しい、
そして、経済に悩む日本の変化につながれば
と思いました。


個人的には、
法人税の負担率を見れば、
その企業の公共心の高さがわかる
という部分が特に印象的でした。

節税に明け暮れている世の中ですが、
もっと国のために税金を捧げたくなる
社会を目指さなければなりませんね。


政治を志す人にはぜひ読んで頂きたい
一冊だと感じました。
経済と道徳を両立させるための
心がけを学ぶことができるでしょう。




渋沢栄一は江戸時代の末期に生まれ、
明治時代に近代国家を建設するうえで大きな働きをして
「日本の資本主義の父」と呼ばれます。
生涯に500もの会社を設立し、
資本主義(商工業)の発達に尽力して、
日本経済の礎を築きました。


「経済」とは「経世済民」を略した言葉で、
「世の中をよく治めて民衆を苦しみから救う」
という意味を持ちます。


資本主義を、その対極にある『論語』に基づき、
自分の身を懸けて実践しました。
これは2500年にわたる『論語』の歴史を見渡しても
特筆するべきことです。
栄一は経済界の巨人ですが、『論語』界の巨人でもあるのです。


当時のシステムがすごいのは全国を見渡して、
「この者はできる」という話を聞いたら、
人物本位で採用してしまうことです。
試験などないのです。現代でこんなことはありえないでしょう。


渋沢栄一はノーベル平和賞の候補に2回ノミネートされています。
(中略)
候補に挙げられた理由は、
欧米諸国と日本の経済人の相互理解の促進、
日米間の友好促進などでした。民間外交の先駆者だったのです。
栄一の活動は、国内にとどまらず国際的に高い評価を得ていました。


金銭を卑しむようでは、国家は成り立たない


自分こそが新しいものをつくってやるのだという気概と、
既存の業界にけんかを売るような気力こそが必要であり、
競争を避けるようでは経済は発展しないと考えたのです。


人生には浮き沈みがあり、自分の力が及ばない不運もあります。
そのとき、これは天災のようなものだからと
耐えていくなかで、「逆境力」が鍛えられます。


法人税の負担率を見れば、その企業の公共心の高さがわかる


目標を立てる際には、大谷選手のように
大きな志と小さな志が矛盾していないか、
大きな志を実弁するための小さな志が
きちんとつながっているかを確認します。


生来優秀な人が存分に力を発揮することも必要かと思いますが、
知・情・意のバランスのとれた人がたくさんいるのが
いい社会ではないかという栄一の考えは、
いまの日本人にも支持されているようです。


国家安定のもとに個人や企業は
お金を儲けることができるのだから、
きちんと国に税金を納めなくてはいけない。


栄一と岩崎弥太郎はよく比較されました。
2人とも経済界の超大物ですが、タイプが異なりました。
富を広く行き渡らせようとする栄一と、
富を独占しようとする岩崎。


初めて会った時の印象は結構、間違いがないものだ





engineer_takafumi at 13:06│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ ビジネスその他

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