2023年04月12日

居場所。

本日は大 洋 氏の
居場所。
です。


本書はダウンタウンのマネージャーを
していたことで有名な吉本興業の会長である、
大崎さんによる著書です。


本書のテーマは「居場所」です。

あの吉本興行のトップになるほどの方なので、
普通の人のはずはありません。

自らが育てたダウンタウンを始め、
超個性的な芸人たちと日々生活を
共にしていたわけです。

その中で、生き延びてきた著者が
自身の経験を振り返りながら、
「居場所」を作るための方法を
12個にまとめています。

・置かれた場所で咲こうとしない
・孤独を見つめすぎない
・競争しようとしない
・限界までがんばろうとしない
・白黒はっきりさせようとしない
・友だちをつくろうとしない
・相談しようとしない
・目的地を決めようとしない
・合理的にしすぎない
・みんなにわかってもらおうとしない
・ルールを決めすぎない
・居場所を場所に求めない

見てみるとわかる通り、
ほぼ脱力系のテーマになります。

しかし、これが競争の象徴とも呼べる
芸人の世界を治めるトップの発言だからこそ
響くものがあるのです。


個人的には、
「一人で抱えず、誰かに頼れ」と。
でも、それって、本当に、難易度が高い。
という部分が特に印象的でした。

そうです。
人に頼るって、ある種の人には、
本当に難しいことなのです。

それを明確に言語化してくれていて、
悩みが昇華していくような感覚がありました。


中高年の男性サラリーマンに
特におすすめしたい一冊です。
いつも張りつめている肩の荷を
少しでも和らげてくれると思います。





僕は、最下層の「漫才師」のマネージャーですから、
下っ端も下っ端。
大阪から来た「興行」なんてヤクザみたいな
名前の会社とバカにされていました。


僕は、局地戦でうまくいかないなら違う場所をつくろう、
新しい土俵をつくろうとしてきたけれど、
結局、大嫌いな競争になってしまいます。


僕が勧めたいのは2つ。
・どこだろうと、土俵には上がらないこと
・どこにもしがみつかないこと


心の荷物をかかえきれずに自ら去ってしまった人の
悲しいニュースが報じられるたびに、
いろんな人がそういいます。
「一人で抱えず、誰かに頼れ」と。
でも、それって、本当に、難易度が高い。


・つらい時は「逃げる」のではなく、「緊急避難」する
・少しの間だけ、その場を離れて一人になってみる
・ふうっと大きな深呼吸をして、「戻ろう」と思ったら、また戻る


項羽さんとサウナでじっくり語りたいような、四面楚歌。


自分は本当は虫なのに、葉っぱのふりをしていたら、
気の合う虫とは出会えません。
・友だちを無理につくろうとしない
・一人になって自分を知る


好きという入口は飾りで、もしかすると
「お金が儲かって人に認められる」
という出口があるから、
好きなふりをしているんじゃないかなと
疑いたくもなってきます。
何より、「そういう発信って疲れへんのかなあ?」
と思うんです。


僕に対する誤解は、戦う価値すらない、
今ではそう思っています。
わかってもらう必要がない人に、
わかってもらおとして費やす力があるなら、
他のことに使った方がずっといい。


これはメディア全体でよくあることで、
その記者を責めても「しゃーない」というところ。
本当のことを報じるより、みんながほしがりそうな
言葉を報じるのが目的なのですから、争っても無駄です。


その昔、芸人の多くは河原に住む
住所すらない最下層の人たちでした。
女を売るのが売春婦。
侠(おとこ)を売るのがヤクザ者。
芸を売るのが芸人。
この3つの根っこは、同じなんです。
芸能界とヤクザのつながりがあったのも
こう考えると無理のない話で、
生きていくためにそれしかできない人たちが
存在していたということです。





engineer_takafumi at 18:11│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ その他の本

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