2023年08月06日

さみしい夜にはペンを持て

本日は古賀史健 氏の
さみしい夜にはペンを持て
です。


本書は『嫌われる勇気』の古賀 史健さんによる、
日記の書き方を伝える物語です。

書くことの大事さを伝える本は多いですが、
ここまで解像度が高いものはないと思います。

つまり、文章の書き方を
低いステップでだんだん上に登れるように
詳しく書いてくれているのです。

特に、主人公の書いた日記が
そのまま書かれているので、
日記ってこんな風に書くんだ
と理解を深めることができるでしょう。

また、本文中では「日記」の書き方が
メインになっていますが、
これは日記以外の文章でも
普遍的に通じる内容です。

ブログやSNSの投稿に悩む人にも
役立つ内容になっています。


また本書は中学生くらいをターゲットに
しているように思えますが、
大人にこそ読んでもらいたい一冊です。

小説の出来としては「??」な部分もありますが、
会話文の中にある本質的な言葉に
はっとさせられた本でした。

個人的には
ほんとうの気持ちは、もっともっと細かいところまで
スローモーションにすることができる、
という部分が特に印象的でした。

この感覚を「スローモーション」と
表現するのはとても上手ですね。


書くことを子どもに教える人(親、教師)に
特におすすめの一冊です。
子どもに書くことの本質を
伝えることができるようになるでしょう。




『聞いてもらうこと』より先に、
『ことばにすること』のよろこびって、
あったんじゃないかな?


うまく話すことができないのは、
頭の回転がにぶいからじゃない。
トビオくんみたいな子は、
『思う』と『言う』の距離が近いだけなんだ


『考え』のともなわないおしゃべりは、
いくらでもありえる。
一方、『考え』もともなわない文章はありえない。


おしゃべりには、消しゴムがないんだよ。
だから、うっかりミスが起こりやすい。
『口が滑る』ってやつだね。


先生にほめてもらおうと書いた作文には、
ちいさな嘘がたくさん混ざってたんだ。


おしゃべりのことばをどれだけ重ねても、
考える習慣にはつながらない。


ほんとうの気持ちは、もっともっと細かいところまで
スローモーションにすることができる。
ぼくたちは意識してないだけで、
あきれるくらいたくさんのことを感じているんだからね


たとえ一箇所でもいいから、
どこかの場面をスローモーションで描く。
そうすれば表現は豊かになるし、
ことばもていねいになる。


ぼくたちは『書こう』としたとき、
ようやくスローモーションのカメラを手に入れるんだよ。


ぼくたちはたくさんのものを見て、聞いて、感じている。
けれどそのほとんどは、意識のなかからすり抜けていく。
そういう『すり抜けていく感情』を
キャッチする網が、ことばなんだ


ノートの目的は、黒板を『写す』ことじゃない。
あとで読み返すはずの自分に向けて、
手紙のように書くものなんだ


黒板を『写す』だけじゃなくって、
その隣に自分の考えも『書く』んだ


シンプルなことばで、まっすぐに伝える。
ひとつの大皿に、たくさんの料理を載せない。
味が混ざっちゃうからね。
もしも料理がたくさんあるのなら、別のお皿に取り分ける。
それが読者に伝えるときの、思いやりだ。


ことばとしては『すごい』しか出てこない。
そういうときに考えたいのが
『これはなにに似ているか?』なんだ


ぼくたちが抱える『だれにも言えないこと』は、
そのほとんどが『自分にも言えないこと』でもあるんだ


書いても書かなくても、『そういう自分』はいる。
『そういう現実』はある。
書くから悩みごとが増えるんじゃない。
目に見えていなかっただけで、悩みはすでにあるんだ。
そして書くことによって、悩みは解決に向かうんだ


同じ「ぼく」でも、ぼくはひとりじゃない。
それぞれの場所に、違った「ぼく」がいる。
そして日記を書き続けていれば、
そこに「もうひとりの自分」が生まれるんだ。






engineer_takafumi at 12:48│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 書き方・話し方・言語

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