⇒ 理系の人・理系社会

2019年01月13日

ホーキング 未来を拓く101の言葉

本日は桝本 誠二 氏の
ホーキング 未来を拓く101の言葉
です。


「車いすの物理学者」として有名なホーキング博士は
2018年に76歳で亡くなりました。

博士は21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、
余命数年と宣告を受けました。
しかし、その後50年以上の生涯を生き、
多数の研究成果や著作を残された博士の人生に
希望を感じる人は多いのでないでしょうか。

本書は、これまで公言したホーキング博士の言葉から
101個をセレクトし、解説をつけてまとめたものです。

人生や希望や逆境など、人生における名言。
数々のアイデアを生んだ、博士の発想。
努力と自認、そして未来をどのように感じていたのか、
名言を通じて、博士の哲学を知ります。


個人的には、ホーキング博士の
死生観や宗教観が特に印象的でした。

「人が宗教に固執し、科学を受け入れない」
というのは、博士の言葉には、
進みすぎた人間の苦悩がうかがえました。


特に、研究者にお勧めの一冊です。
天才研究者の考え方に触れることで、
人生の指針とできるかもしれません。



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engineer_takafumi at 01:33|PermalinkComments(0)

2018年02月25日

エンジニアの成長戦略

本日は匠 習作氏の
エンジニアの成長戦略
です。
エンジニアの成長戦略


本書の著者は、エンジニアとして現場で実績をつくり、
医療機器メーカのプロジェクトマネージャー、
プラントメーカーの品質保証部門の責任者などを歴任。

現在は独立されて、エンジニアに対するキャリア指導、
工場の生産設備や品質保証のコンサルティングを
されています。

また、技術士をはじめとして、甲種危険物、ISO審査員など
多数の資格を取得されています。


そんな技術のプロである著者が、
本書でエンジニアのキャリアについて説きます。

エンジニアとしてのキャリアの積み方、
どのような知識を身につけるべきか、
キャリアチェンジの方法など、
エンジニアにとって、自分に特化したキャリア戦略論は
とても役立つことでしょう。


個人的には、
チャレンジャー号の事故を防げなかったエンジニアと、
シティーコープタワーの倒壊を防いだエンジニアの
対比の部分が印象的でした。


エンジニアを志す大学生、若手エンジニアに
読んで欲しい一冊です。
エンジニアとしてのキャリアの積み方が
つかめることでしょう。

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engineer_takafumi at 12:31|PermalinkComments(0)

2018年01月20日

鈍才が7件で何故成功できたのか

本日は清水優 氏の
鈍才が7件で何故成功できたのか
です。
鈍才が7件で何故成功できたのか

本書は著者よりご献本頂きました。
清水様ありがとうございました。

本書は1956年に東京大学理学部化学科を卒業され、
丸善石油(現コスモ石油)に入社、
石油化学の研究開発、企画、装置の建設・運転に従事、
50歳からバイオの基礎研究に分野を移して、
丸善石油の子会社の代表取締役として活躍された、
という著者による一冊です。

本書には著者が自分の仕事の殻を破りながら
成果をあげた7件の事例を中心に、
当時、成功を収めた著者の働き方を説いたものです。

成果もさることながら、
仕事の詳細まで克明に記されていて、
著者の記憶力に驚きました。


おそらく著者の世代には、
各方面で著者のような気概を持った方々がいて、
今の裕福な日本の土台を作ってくれたのです。

現在の日本経済は決して楽観はできませんが、
先輩達をがっかりさせないように、
がんばっていかなければなりません。


個人的には、昔の働き方が印象的でした。
今となってはインターネットなしでの
仕事など考えられませんが、
当時は打ち合わせを設定するのも電話で、
これほど大変だったのですね。

50〜60代のビジネスパーソンにお勧めの一冊です。
一世代上の活躍に元気をもらえることでしょう。

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engineer_takafumi at 22:59|PermalinkComments(0)

2016年08月12日

ロケットササキ

本日は大西 康之氏の
ロケットササキ
です。


本書はジョブズや孫正義が仰ぐ伝説のエンジニア、
というコピーにひかれて購入しました。

佐々木正氏は戦中をエンジニアとして過ごし、
その後、神戸工業を経て、早川電機(シャープ)に入社
シャープにて電卓戦争の中核として、シャープだけではなく
日本の電子産業全体を盛り上げた、伝説のエンジニアです。


佐々木氏はエンジニアとしての能力ももちろんですが、
その幅広い人脈がすばらしいです。
江崎玲於奈氏をはじめとする科学者、技術者はもちろん
松下幸之助や井深大などの日本企業のトップとの人脈、
ベル研究所のショックレー、ブラッテン、バーディーン、
インテルのロバート・ノイス、ゴードン・ムーア、アンドリュー・グローブ
など、歴史的な人物とも親交が厚いそうです。

シャープでこれらの人脈を生かして次々に新製品を生み出す話は
エンジニアの一人として、強い感銘を受けました。


日本は一時、半導体や電子機器で世界を席巻しましたが、
その裏には、佐々木さんのような天才エンジニアがいたことを
強く感じさせる本でした。

私もエンジニアとして、これからの世界を変える何かになりたいと
思いを新たにしました。


エンジニアであれば、是非読んでもらいたい一冊です。
佐々木さんの半生から、夢やエネルギーをもらえることでしょう。



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engineer_takafumi at 20:56|PermalinkComments(0)

2016年05月24日

理系に学ぶ。

本日は川村 元気氏の
理系に学ぶ。
です。


本書はタイトルにひかれて購入しました。


映画や小説、絵本などクリエイティブ界で活躍する
典型的な文系人間の著者が、
「これから何が起こるのか」ということを中心に、
様々な分野で活躍する理系人間にインタビューしたもの
をまとめたものが本書になります。


理系といっても、著者と同じクリエイティブ業界で活躍する
メディアアーティストから、ロボットクリエイター、医者、
宇宙飛行士、物理学者、会社社長など多彩にわたっており
理系人間とひとくくりにできない面白さもあります。

登場する方の専門分野は深く、難解なものも多いですが、
著者のシンプルで本質的な質問が、
対談をわかりやすいものにしてくれます。

また、人選が良いと思うので、ここに登場する人たちは
これから注目しておいた方が良いでしょう。


文系の人がさっと、理系の社会を知りたいと
思った時にお勧めの一冊です。
これから注目すべき理系の分野が明らかになるでしょう。

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engineer_takafumi at 21:01|PermalinkComments(0)

2016年03月01日

10年後、生き残る理系の条件

本日は竹内健 氏の
10年後、生き残る理系の条件
です。


本書は注目している竹内さんの新刊ということで
迷わずに購入しました。


本書の著者の竹内氏は、
東芝のフラッシュメモリ立ち上げの主要メンバーで、米国でMBAを取得。
現在は中央大の教授で半導体メモリ、SSD、
コンピューターシステムの研究開発で世界的に知られています。

そんな、普通のエンジニアとは少し違う経歴を持った著者が
現代の厳しい時代を、エンジニアがどう生き残っていくか
というテーマについて書いています。

本書を読んで思うのは、伝統的な日本の大企業は
圧倒的に古いということです。

外の世界はケタ違いのスピードで動いているので、
社内の論理で仕事をしていると、
世間的にはあっという間に時代遅れになってしまいます。

多くのエンジニアはそんなことにうすうす気づきながらも、
不安を持つだけで、具体的に何をすれば良いかは
わからずにいることでしょう。

そこで、本書の登場です。
本書では、大企業と外の世界を対比させながら、
著者がこれからのエンジニアのキャリアの作り方を説きます。

厳しい時代ですが、逆をかえせばチャンスも多いと言うことです。
そんなチャンスの活かし方も教えてくれます。


個人的には、
日本の大企業では、どう社員を伸ばしてくか、
モチベーションを上げていくかが「真空状態」になっている、
という箇所に興味を持ちました。


なんとなく将来に不安がある、若いエンジニアにお勧めです。
エンジニアとして、どのようなキャリアを築いていくべきか
その指針を得られるでしょう。

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engineer_takafumi at 23:23|PermalinkComments(0)

2013年05月20日

死の淵を見た男

本日は門田 隆将氏の
死の淵を見た男
です。
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

本書は原発事故で被害の拡大を食い止めた
東電の社員や自衛隊などの「現場」の働きを知りたくて購入しました。


福島の原発事故は大変な被害をもたらしました。

ですが、あの事故では、最悪のケースで日本の人口の
半分近くが避難しなくてはならないような
ケースさえ想定されていました。

それを食い止めたのが、東電の社員や自衛隊などの
「現場」の力だったのです。

本書では、当時福島第一原発の所長であった
吉田氏を中心とした現場の動きが詳細に書かれています。

初期段階での適切な処置、命さえ投げ出すほどの責任感、
事故収束に向けた彼らの努力には本当に頭が下がります。

日本の社会を指して、マネジメントは無能だが
現場は極めて優秀などと言われます。

今回の事故もその典型例と言えるかもしれません。

政治家や東電上層部の失態の裏で
英雄とも言えるような現場の努力があったのです。


できれば全ての日本人に読んで欲しい一冊です。
郷土や国を守るため、懸命に尽くした人達の記録は
日本人に勇気と誇りを与えてくれると思います。


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engineer_takafumi at 00:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2012年12月22日

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

本日は山中伸弥氏の
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
です。
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

本書はノーベル賞を受賞した山中先生について
知りたくて購入しました。

この本を読んで一番感じたのは、
山中先生が驚くほど謙虚であるということです。

本書中でも、具体的な名前を挙げて
iPS細胞の発見者は助手や学生の手柄であって
自分の発見ではない、とまで書かれています。

実るほど頭を垂れる稲穂かな、
という言葉は山中先生のためにあると言っても
過言ではなさそうです。


その謙虚さがどこから来るのかというと、
先生自身が決して順風満帆の人生を歩んできたわけでは
ないということがあるのでしょう。

臨床医としての失敗、米国留学後にうつになりかけた、
そんな経験の中で謙虚になっていったのだと思います。


その反面、非常に強い意志も感じました。
先生はiPS細胞の発見者として世界的に有名な方です。

ただし、iPS細胞の実用化に向けての道は、
技術面だけでなく倫理面の課題などもあり、
決して平坦なものではありません。

そんな大きなプレッシャーが先生の肩に乗っているのです。

しかし、先生はそんなプレッシャーを
iPS細胞に関わっているのだから当然だ、
と言い切るのです。

そして、iPS細胞で助かる可能性が増える、
患者さんのことを考えて頑張っているのです。

こんな方と同じ日本人である、ということだけで
私まで誇りに感じました。


山中先生は日本人に愛される人だと思います。
本書を全ての日本人が読んで先生の人柄に触れ、
同時に強い意志を感じて欲しい。
そんな風に思った一冊でした。



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engineer_takafumi at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2012年08月08日

エンジニアが30歳までに身につけておくべきこと

本日は椎木 一夫氏の
エンジニアが30歳までに身につけておくべきこと
です。
エンジニアが30歳までに身につけておくべきこと

本書は若年エンジニア向けのベストセラーと知り、
興味を持って購入しました。


本書は学生から入社して数年のエンジニア向けに
キャリアや仕事の進め方を説いた本です。

キャリアやコミュニケーションといった一般的な事柄を
著者の経験を交え、エンジニアに特化した内容に
焼きなおしてくれています。

著者が日立の中研から大学教授というキャリアのため、
産業界でも大学でも通用するという説得力があります。

私は中堅エンジニアなのですが、
読んでいて非常に共感する部分が多く、
もっと早くこんな本に出合えていれば、と感じました。

特に面白いと感じたのは、下記のような話でした。
・大学の研究者とエンジニアの違い
・エンジニアが直面するコミュニケーション技術
・エンジニアのプレゼンテーション
・エンジニアと特許


エンジニアを志望する学生にはぜひ読んで欲しい一冊です。
まず、就職活動で大きな力になってくれるでしょうし、
入社して数年までバイブルとして使えることでしょう。


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2011年06月13日

ご冗談でしょう、ファインマンさん

本日はファインマンによる
ご冗談でしょう、ファインマンさん
です。


本書はある科学者が推薦しているのを知って
興味を持って購入しました。


著者のファインマンはノーベル賞を受賞した物理学者で
「ファインマン物理学」という有名な教科書を著していて
教育にも力を注がれたアメリカの有名な物理学者です。

そしてこの本は、ファインマンが自分の人生や考え方を
述べた自伝、エッセイのような本です。

こんな経歴を持つくらいですから、
いかにもかたくて立派な方なのかと思いきや、
この本がそんな畏敬のような気持ちを取り払い
親しみのようなものさえ感じさせます。


いたずら、女性、音楽、芸術など、
およそ物理学者らしからぬ人生を歩まれています。

科学者の最もあこがれるノーベル賞でさえも
「頭痛の種だった」と言い放つのはすごいです。

しかし、そのはちゃめちゃな人生の中にも
物理に対する真摯な思いがあふれています。


また、著者はマンハッタン計画(原爆製造計画)
にも参加しており、当時の記述には大変興味がわきました。

科学者の人生に興味がある方には
ぜひおすすめの一冊です。

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engineer_takafumi at 06:47|PermalinkComments(0)

2011年01月12日

博士漂流時代

本日は榎木英介氏の
博士漂流時代
です。


Discover社のサイエンスシリーズということで
興味を持って本書を購入しました。


「高学歴ワーキングプア」とも呼ばれるポスドクの余剰。
本書は「余る」博士について論じたものです。

著者自身も生命科学系の大学院を出た後、
それでは食えないということで医学部に編入したという
経歴をもっており、まさにこの問題の当事者といえます。

それが故にか、やや感情的になっている部分もありますが、
僕はそれもまた味わいだと思います。

科学者はもっと感情を表に出した方が良いと
思っていますから。


結局、博士は増やしすぎてはいけなかったのだと思います。

現在のシステムでは博士号の価値が下がっているのが
一番の問題なのではないのでしょうか?

博士号を得にくくして、博士に対する尊敬の念を回復させれば
現状の多くの問題は解決に向かうのではないかと思います。

ただ、現在いる人の処遇はきちんとしなくてはいけませんが…
優秀な人が職につけないのは国家的な損失ですから。


個人的には、華やかに見えるバイオサイエンス系の博士が
一番余剰に苦しんでいる、ということが意外でした。


官僚やメーカーの経営者に読んでもらって、
博士の活用法と日本の未来について考えてもらいたい、
そんな風に思わせられた一冊でした。


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engineer_takafumi at 01:22|PermalinkComments(0)

2010年11月23日

東大博士が語る理系という生き方

本日は瀬名秀明氏と池谷祐二氏による
東大博士が語る理系という生き方
です。


当面PHPサイエンス・ワールドは全てチェックしようと思い、
本書を購入しました。


本書は東大にて博士号を取得した8人の若手研究者が
自分の研究や若者へのメッセージを語ります。

研究分野も物理学から工学というより社会学に近い分野まで。
また、ポスドク、特任教授や企業内の研究者
そして一度企業に勤めた後、大学に戻った人などキャリアも多彩です。

そして、一人一人が自分の専門分野の話もさることながら
自分が東大を選んだ背景、そして今の専門分野に進んだ背景が
書き記されていて、とても興味深いです。

私はもう社会人になってしまっていますが、
これを高校や大学の早いうちに読むことができれば
参考になることが多かっただろうな、と思います。


東大の理系に進学しようとしている高校生には
必読の一冊だと思います。

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engineer_takafumi at 03:20|PermalinkComments(0)

2009年03月12日

限界への挑戦

本日は江崎玲於奈氏による
限界への挑戦―私の履歴書
です。


本書は半導体分野のパイオニアで、
ノーベル賞を受賞された江崎玲於奈氏の
半生を知りたくて購入しました。

よく知られたことですが、
江崎氏がノーベル賞を受賞したエサキダイオードは
東京通信工業(現ソニー)に在籍時に
発見したものです。

つまり、江崎氏は学者というより
エンジニア畑だったということもできるでしょう。
そんなところに親しみを持ちました。

また、著者が大学で勉強していたのは
ちょうど戦時中でした。

今も厳しい時代といわれていますが、
戦時中に比べれば、生ぬるいものです。


最後に、この本を読んで、ノーベル賞の名誉、
しかし、受賞から重くのしかかる責任、
そんなものが垣間見えた気がします。

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engineer_takafumi at 23:28|PermalinkComments(0)

2009年02月24日

理系アタマのつくり方

今日は四ッ柳茂樹さんの
「理系アタマのつくり方」です。


この本はあるセミナーの先輩である四ッ柳さんが
「理系アタマ」を切り口にした本を書いたと聞き
即買いしました。


内容は「理系」というより、論理思考をベースとした
ビジネス本と言った方が正確かもしれません。
物語ベースで、楽しみながらスイスイ読み進める
ことができます。

ヨッツン人形という商品のプロジェクトを
任された主人公。
最初はプロジェクトを軌道にのせることができませんが、
中川さんという一風変わった先輩の助言を元に
このプロジェクトを成功に導きます。

入社1〜3年目くらいの社員に、特にお勧めですね。

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engineer_takafumi at 22:26|PermalinkComments(0)

2009年01月28日

科学者たちの奇妙な日常

本日は松下祥子さんによる
科学者たちの奇妙な日常
です。


本書は書店で本を物色している時に目に止まり
購入しました。


著者は大学で講師をしている女性研究者です。
専門は物理化学とのことです。

この分野はほとんど女性はおらず何かと注目を集めやすい
と思いますが、その著者が自分の業界?(学会?)
をわかりやすく解説します。

題材としては、ありがちなのですが、
なんといっても女性研究者の視点、というものが
本を面白く、オリジナリティあるものにしています。


どちらかというと、研究者の世界を知りたい素人より
研究者の道に進もうかどうか考えている人
を対象にした本だと思いますね。


理系に進もうとしている女子高生などは
特に必見の内容です。
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engineer_takafumi at 23:48|PermalinkComments(0)